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皇帝無き世はどうなるのか? ~作り話~

 
 マニアの地にて――
 

 トレタ・テマニヤちゃうで。
 マニヤではなく、マニアだ。
 マニアと言えば、マニアック。
 マニアックと言えば、人形やマネキンで部屋を埋め尽くした男が、それだけではものたりなくなって、現実の女性を襲い殺しては、衣服や頭皮を剥ぎ取り――
 
 いかんいかん、俺はいったい何を想像しているのだ?
 この世界に来て、俺も少しずつ狂気が生まれ育っているのかもしれない……(。-`ω´-)
 

 しかしやはりこの世界の特徴は、この巨大なキノコだろうな。
 樹木キノコと名付けてやろう。
 
「ねぇ、ラムリーザ?」
「ん? なんだ?」
「シロディールだったっけ、あっちの世界であたしと離れ離れになった後、あなたはどうしていたの?」
「宿でも言っただろ、お前の敵討ちをしていたんだよ。闇の一党を退治して、ついでに聖騎士問題も解決してやった」
「ふぅん」
 
 あまりシロディールの話は、やりたくないのだがな。
 

 時折、光の粒が周囲を漂っていることがある。
 シロディールでは、ウィ・オーウィスプと言って襲い掛かってきたが、この世界では別に敵意を持っていないようだ。
 
 なんだろう? 幻光虫かな?
 
 

 そして道中、モンスターが襲い掛かってきたりする。
 これまたやはり、今までには見たことのない生き物だったりするのだ。
 ちなみに、緑娘が蹴り刺している相手はハンガーという生き物で、俺が霊峰の指改を放っている相手はナールという生き物らしい。
 

「また死体の装備漁りなの?」
「こいつ、琥珀を持ってるぞ」
 
 シロディールでは見かけなかった宝石だ。
 時々この琥珀の中には、太古の生き物の血を吸った蚊が閉じ込められていることがある。
 その血液を抽出して、遺伝子情報を読み取ると――
  
「ねぇ、帝国はどうなったのかしら?」
 
 空想の世界について思いを馳せていると、緑娘は再びシロディールのことについて尋ねてきた。
 これは緑娘に言うべきだろうか? ものすごく判断に迷うところだ。
 
 元々緑娘は、俺に帝国を乗っ取らせて皇帝の座を簒奪させることを望んでいた。
 そして緑娘も最後に見た光景として、マーティンがアカトシュとなって石化したことを知っているはずだ。
 つまり、皇帝の血筋が途絶えたことも知っているかもしれない。
 
「マーティンは神となって、居なくなってしまったのよね」
「そうだったな」
「じゃあ、皇帝はどうなってしまったの?」
 
 こういう会話をしていると、そういう問いが出てくることはわかり切っていた。
 俺に皇帝の座が回ってきた、ということを緑娘が知ったら、彼女はどうするだろうか?
 
 おそらく、ものすごく悔やむのではないだろうか?
 
 

 会話しながらも、いろいろと考えながらも、襲い掛かってくる敵があれば全力で対応する。
 こいつはエライトラ、エリトラとも言う虫みたいな奴。これまで見たタイプだと、ランド・ドゥルーみたいな感じかな?
 

 残念ながらこいつは体液ぐらいしか入手できないので、錬金術でもやっていない限り、あまり狩る意味は無い。
 ちなみにハンガーは舌、ナールは樹皮を入手できるが、これらも錬金述素材であり、俺にはあまり価値が無い。
 たぶん琥珀も安くしか売れないのだろうな……
 
 
  
 緑娘が油断していなければ、闇の一党に殺されることも無かったはずだ。
 そしていずれは、どこかのタイミングで闇の一党を知り、ひょっとしたら俺ではなく、緑娘自身が自分の命を狙うものと戦っていたかもしれない。
 その時は緑娘の手によって、闇の一党は壊滅していただろうな。
 
 そしてオカトー大議長が、俺を皇帝に推薦してきた時、緑娘はどうしただろうか?
 間違いなく俺をたきつけて、俺も断る理由すらなくなっていて、そのまま皇帝の座に就いていたかもしれない。
 いや、それこそ間違いなく、俺は皇帝になっていただろう。
 
 そんな話が緑娘にできるか?
 
「オカトー大議長が、皇帝に代わって民を導いていたよ」
 
 これは本当のことだ。
 
 皇帝無き世でなんとか体裁を取り繕っていたのは、オカトー大議長である。
 彼が居たから、俺は帝国の中枢から外れて、闇の一党に戦いを挑むことができたのだ。
 
「でも、その大議長がずっとそのままってわけにはいかないでしょう? どこかで皇帝が必要になると思うわ」
「オカトー大議長は、タイタス・ミードって人を皇帝に推薦していたよ」
 
 これは嘘だ。
 
 彼は、オカトー大議長を保護するただの親衛隊の一人に過ぎない。
 たまたま大議長と一緒に居たところを見ていたので、とっさに名前を使わせてもらっただけだ。
 彼が皇帝の座に就く可能性は、ほとんど無いだろう。
 
「何よそのタイタス・ミードって人、なんでそんな知らない人が皇帝になるのよ。あなたの方が相応しいはずよ」
「俺が闇の一党と戦っている間、皇帝の座を巡る帝国の内乱が起こっていて、その争いを制したのさ――と、ちょっと待て。あれは何だろうか?」
 

 適当にマニアの地をブラブラしていると、目の前に監視台? キャンプ?
 よくわからないが、木製の小屋のようなものが出現した。
 ついでに先程退治したハンガーが、ここにもうろついている。
 
 ここはレッチド・キャンプ――つまり、卑劣キャンプだ。
 なぜそんな不名誉な名前を付けられているのかは、全く知らない。


「なぜその争いに、あなたは参加しなかったのかしら?」
「俺は帝国よりも、緑娘の方が大事だからさ。皇帝の座よりも、敵討ちの方が重要なんだ」
 
 緑娘は何も答えない。
 そして俺は、ありもしない歴史を語っていた。
 そんな内乱など起きていないし、一介の親衛隊が争いを制したところで何になるというのか。
 
 だが、帝国よりも緑娘の方が大事だということに、嘘偽りは無い。
 
「今の帝国は、ストームクラウンの大空位時代って呼ばれているのさ」
「ふぅん……」
 
 造語とか妄想って便利だよな。
 それっぽく響かせることで、相手を納得させられる可能性を秘めているのだから。
 俺は、皇帝の座が空位ということから言葉を発展させて、そこに曇王の神殿――クラウド・ルーラー神殿をもじってクラウンという単語を追加した。
 そしてそのな時代は、疾風怒濤の時代と呼ばれることもある。疾風から嵐、ストームを連想する。
 短い間によく色々と想像の翼を羽ばたかせたな。なんだよストームクラウンの大空位時代って。他人事みたいにかっこいい名前つけている場合ではないだろうが。
 
 現実では、今頃はオカトー大議長が引き続き政務を担当しているのだろう。
 ひょっとしたら、帝政が終わって民政へと移行するかもしれない。
 タムリエル大陸は、シロディールだけではなく、さまざまな地方が存在するらしい。
 例えはジ=スカール先輩と旅をしたエルスウェアのようにね。
 つまり帝国が無くなることで、エルスウェアはエルスウェアで独立した国になる可能性もあるのだ。
 
 
 ま、どんな世界になろうが、俺には関係無いかな。
 
 俺はこの緑娘と、この世界で生きていくのだから――
 
 
 
 
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©発行年-2021 らむのゲーム日記