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さらば、シロディールよ!

 
 さて、シロディールでの最後の仕事。
 それは、オカトー大議長に「俺は皇帝の座には就けない」と意思表明することである。
 
 緑娘が驚愕の島で生きている――という言い方も妙だが、とにかく緑娘とまた一緒に暮らせる世界があるのなら、俺はそちらを優先する。
 だからオカトー大議長に会って、俺のことはあきらめてもらう必要があるのだ。
 
 

 帝都インペリアルシティ神殿地区――
 
 そこにはマーティンの姿が今でも残っている。
 
 
 あの日、メエルーンズ・デイゴンと最終決戦を行った時。
 マーティンはアカトシュとなり帝国をオブリビオンの動乱から救った。
 
 だがマーティンは犠牲となり、ここにドラゴンボーン、皇帝の血筋は途絶えた……
 
 
「オカトー大議長!」
「おお、シロディールの勇者殿。決心を固めてくれたかな?」
「実はそのことで大議長に謝らなければならない!」
「謝る?」
「俺は――いや、私は皇帝にはなれない!」
「なっ、なんと?!」
 

 オカトー大議長は、ひどく驚いたようだ。
 そりゃそうだろう……
 
 皇帝の血筋が途絶えた今、新たな皇帝として相応しいのは、オブリビオンの動乱をマーティンと共に救った俺なのだから。
 俺以外の者なら、ぶっちゃけ誰がなっても一緒。
 ――とまぁ、自分を過大評価するのもアレだから、このぐらいにしておこうと思うけどな。
 
「な、なぜあなたは皇帝の座を……」
「大議長、帝国と皇帝はお互いが選び、選ばれることで成立する。だが私は、帝国よりも緑娘を選び、緑娘も俺を求めている」
「なんですかそのミドリムスメとは? 帝国よりも大事なものですか?」
 
 おっと、思わず緑娘と口走ってしまったが、事実、俺にとっては帝国よりも大事な緑娘だ。
 もしも緑娘が生きていたら、喜んで皇帝として臣民を導く役目を引き受けただろう。
 ま、別世界で緑娘は生きているけどな。
 緑娘の生きている世界で、俺は新しい生き方を探すさ。
 
「そなたこそ、この帝国を収めるのに相応しいお方なのに……」
 
 だから、俺はオカトー大議長に言いました。

 なぜ突然丁寧語なのかだって?
 ――なんとなく話の流れでそう思っただけさ。
 
 
「すみません。もし私の治める国があるなら、それは私自身で探したいのです」
「そのあなたの旅に、オカトーもお供しとうございます」
「黙れ、お前はシロディールを統治せよ」
 

 オカトー大議長は、俺の突然の申し入れに、少々混乱されている模様。
 俺は身をひるがえすと、さっさと帝都を立ち去ることにした。
 後ろから「そんな、ひどい」などというつぶやきが聞こえるが、悪く思わんでくれ……、悪いのは闇の一党だよ。
 闇の一党さえなければ、大議長の思い描く世の中になっていただろうよ。
 
 

 さらば、帝都インペリアルシティ。
 
 そしてさらば、シロデイールよ!
 辛いこと、嬉しいこといろいろあったが、俺は俺の新たな人生を歩む。
 帝国も帝国で、新たな道を歩むがよい。
 
 目指すはニベン湾の小島、奇妙な扉。
 

 俺が手に入れる寸前までいった、シロディールでの最後の旅だ――
 
 
 ………
 ……
 …
 
 
 ニベン湾にて――
 

 まだ、奇妙な扉は開いたままのようだな、よしよし。
 待っていろよ緑娘、もうすぐ会えるさ。
 
「アークメイジ! いや、ラムリーザさん!」
「なんぞ?」
 

 そこに現れたのは、リリィ?
 そしてアリーレにミーシャ?
 なんだ? 俺を追ってきたのか?
 
「リリィさんに、アリーレさん、それにミーシャ?!」
「ラミナスから聞きました。私にアークメイジの座を譲って、あなたはどこへ行くのですか?」
「そうさなぁ……」
 
 俺は少し考えた後、リリィには全てを語っておこうと考えた。
 後のことを託される身だ、全てを知る権利がある。
 
 俺はリリィに全てを語った。
 ニベン湾の小島に現れた、奇妙な扉のことを。
 その先に、シェオゴラスの支配する世界があることを。
 そして、その世界で緑娘が生きているということを。
 
「なるほど、楽園と同じですね」
「楽園とな?」
 
 確かに、緑娘の生きている世界は、俺にとって楽園と言えるが……
 しかしリリィの言った楽園とは、ガイアル・アレイタのことであった。
 
 オブリビオンの動乱時、マンカー・キャモランが立て籠もった楽園、ガイアル・アレイタ。
 ザルクセスの神秘の書を解読することで、その世界に侵入することができたりする。
 そしてそこは、デイドラが支配する世界のようなものであった。
 メエルーンズ・デイゴンの世界の一つと言うか、なんというか……
 
 リリィが指摘したのは、マンカー・キャモランではなく、その息子や娘についてだった。
 名前は忘れたが、キャモラン兄妹としておこう。二人はアリアス湖にあるデイゴンの祠で俺に始末されたが、後に楽園で復活している。
 つまり、ムンダスで死んだ者がオブリビオンの世界に転生することは、別に特別な事ではない。珍しいことではあるが……
 
「しかし奴らならデイゴンの信徒だったからわかるけど、なんでシェオゴラスの信徒でもない者が……?」
「私もよくは知りませんが、あなたは以前にシェオゴラスの意思に従ったことはありませんか?」
「あ……」
 
 奴にそそのかされて、村に災厄を引き起こしたことがあった。
 あの地点で、シェオゴラスの信徒とみなされたのか?
 だがあの時は、緑娘など関係なかったぞ?
 
「信徒、信者――。あなたは以前、シェオゴラスに何かを願ったことはありますか?」
「そんなことあるわけがな――」
 
 俺は思い出した。
 かつて、三体のデイドラに願ったことを……。
 
 暗殺の任務が上手く行きますよう、メファーラに。
 緑娘と共に過ごせる幸福な夢の世界を求めて、ヴァーミルナに。
 
 そして、シェオゴラスに願った――
 
 狂気を司る神シェオゴラスよ、あなたに仕えてもよいとさえ思っている。
 暗殺者と身を落とした今、村の一つや二つに災厄を引き起こすぐらい大したことではない。
 いくらでも、狂気に身を任せようではないか。
 
 幸せな狂気の中で、緑娘と一緒に過ごせるのならば――と。
 
 
 あの時はほとんどヤケであったが、まさかそんな些細なことで、今のこの奇跡に繋がっていたというのか?!
 それじゃ、マシウの母親が復活した理由は何か?
 マシウも後に祈ったからか?
 
「まぁそんなわけで、さらばだ。もう会うこともあるまい……(。-`ω´-)」
「わかりました。あなたがそこまで彼女のことを思うのなら、後は任せてください」
「引き受けてくれますか、ありがとうございます」
 

 よし、これで完全に俺の帝国での役割は終わった。
 元々別の国? 別の世界からやってきた身である。
 元から居なかったと考えたら、後を託しても問題ないはずである。
 
 
「それじゃ、アリーレさんもミーシャもさらばだ。でもミーシャまでどうして?」
「んーとね、んーとね、レヤウィンの小島が直ったって連絡が入ったので、戻るところなの」
「私はミーシャの護衛です」
「なるほどね」
「ばいばーい、らむたん。また会いに来てね」
「羊のらむたんなら、いつも一緒に居るだろ」
 
 

 そしてリリィは帝都へと、アリーレとミーシャはレヤウィンへと向かい――
 
「そうだ、俺からの最後の頼みです。ソニアの埋葬、宜しくお願いします」
 
 急に思い出したので、最後の依頼を託すのであった。
 最愛の人の埋葬を他人に任せっきりにするのも無責任な話ではあるが、俺にはこの世界にある緑娘の亡骸を埋葬する意味が無いからな。

 
 ブラヴィル周辺で、リリィとアリーレ、そしてミーシャと最後の会話を交わしたこと。
 そして、奇妙な門を監視し続けるガイウス・ブレンタス。
 

 ここが後の歴史家に語り継がれる、シロディールの勇者を見たと言われる最後の場所となったのである。
 


 
 
 
 
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