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新しい王の誕生 ~マニアとディメンシアの統合を目指して~

 
 ついに戦慄の島の王へと上り詰めた。
 王としてまずやることはなにか?
 そこで俺は、同じように王への道を歩んでいた、かつての友を思い浮かべた。
 

 演説であろうか?
 
 しかしいまの俺は、あの時の友とは違う立場に居る。
 すでに、戦慄の島の住民から公爵だと、シェオゴラスの遺志を継ぐものと十分に承知されている。
 ならば、さっそく俺の望む世界に作り替えていくか。
 
「ハスキルよ、そなたはシェオゴラスの執事なのだな?」
「はい、シェオゴラス様」
「今、俺のことをシェオゴラスと呼んだな?」
「はい、貴方は先代の遺志を引き継ぎ、見事その後釜と成り果せたのです」
「では最初の命令だ。俺のことはラムリーザ様と呼べ」
「ラムリーザ様――ですか?」
「そうだ。それと、マニア屋敷とディメンシア屋敷に仕える者をここに集めるのだ」
「仰せのままに」
 
 

 数分後、シェオゴラスの宮殿――いや、ラムリーザの宮殿に、五人の者が集められた。
 マニア屋敷からは、元セイドン公爵の使用人であるワイド=アイとコックであるガンドラーの二人が。ディメンシア屋敷からは、元シル公爵の使用人であるアンヤ・ヘリックと、執事のキスラン、そして拷問間のハーディルの三人が集まった。
 
「公爵閣下――いや、シェオゴラス二世殿、我々を集めて何を?」
「シェオゴラス二世と呼んだから、お前ら五人をまとめて肥溜めに沈めて発酵させたところでニュータイプとして俺に仕えさせる」
「そっ、そんなご無体な?!」
 
 どうだ? 狂神っぽく振舞えたか?
 いや、別に狂気の神である必要はないのだけどな。
 ま、いきなり秩序化させたらこいつらも付いてこれないだろうから、少しずつ改革していくさ。
 

「ワイド=アイよ」
「はいっ」
「そなたはセイドンのためなら何でもすると言ったな?」
「はいっ」
「では、俺のためならばどうする?」
「もちろん何でもします! 自分の子供だけでなく、親兄弟も食べます!」
「ではカニバリズム思考はやめろ」
「は、はいっ……、ラムリーザ様」
 
 俺はこいつらの所持している妙な思考を改めていこうと思っている。
 長い年月をかけて、少しずつな。
 

「ガンドラーよ」
「はっ」
「コックだそうだな?」
「はいっ、ラムリーザ様のためなら何でも作ります。何でもね。カース・マルツゥやシュールストレミングだって作ります!」
「そんな物は作るな。給食の献立表は俺と相談して決めること。わけぎ和えとかマズいから作るな」
「かしこまりましたっ!」
「世界最強のコックになるのを期待している」
「は、はいっ……、ラムリーザ様」
 
 ドラララみたいな料理など、絶対に作らせてはならないのだ。
 そうだな、ゲテモノ系は禁止するといった指令を発布せねばな。
 

「アンヤよ」
「はっ」
「シル公爵に未練はあるか?」
「ありません。今のディメンシア公爵は貴方です」
「ディメンシア公爵も、マニア公爵も廃止する。俺は王となった。これからは陛下、もしくはラムリーザ様と呼べ」
「は、はいっ……、陛下、ラムリーザ様」
 
 セイドンもシルも居なくなり、唯一の公爵となった俺が頂点に立ったのだ。
 今後、二人の公爵は必要としない。今は俺が絶対的な支配者となるのだ。
 それなりの人材が現れるまでは、ディメンシア公爵も、マニア公爵も廃止だ。
 

「キスランよ」
「はっ」
「ディメンシア公爵とマニア公爵の廃止に伴い、そなたはハスキルに次ぐ次席執事とする。そして、この宮殿から見て右側のディメンシア屋敷をこれからは右屋敷――レフト・パレスと。左側のマニア屋敷は左屋敷――ライト・パレスと呼ぶ」
「陛下! ライトが右で、レフトが左でございます!」
「レフトとライトぐらい、臨機応変に入れ替えろ! それが名監督――いや執事というものだろうが!」
「は、はいっ……、陛下、ラムリーザ様」
 
 ま、こいつは最初からある程度好意的でまともだったので、今更改める部分は無いだろう。
 いずれはマニアとディメンシアを一つにするつもりだ。
 わざわざ分けているから、サイラーンの遺跡のように内乱が起きるのだ。
 その手始めとして、二人の公爵不在となった屋敷の名称を変えてしまおうではないか。
 

「ハーディルよ」
「はっ」
「こいつらまだ俺の怖さを知らんようだから、ちょっとばっかしお仕置きしてやりなさい」
「はっ」
 

 ま、少しは狂神であるところも見せておこうか。
 とたんにうろたえる四人。アンヤなどは、一度食らっているので泣きそうになっている。
 逆にハスキルは堂々としたものだ。さすがあのシェオゴラス直属の執事を務めただけある。
 
「――と思ったけど、このめでたい日に免じて、お仕置きは一旦お預け」
「ふぅ――」
「いつか君たちの忠誠に応えられる日が来るとよいのだが。以上だ、ありがとう!」
 

 とりあえず最初の演説は、かつての友と同じ言葉で締めくくってやった。
 ま、比較的この使用人たちはまともな部類なので、俺がとやかく言う必要はない。
 アンヤ、キスラン、ハーディルの三人は、俺が元々ディメンシア公爵だから、そのまま俺に忠誠を誓っている。
 逆にワイド=アイとガンドラーとは、立場を逆とするものだった。しかし、偉大なるかがり火をマニア側について復活させたことを知っているので、俺に感謝している。
 マニアとディメンシア、どちらにも良い顔をする蝙蝠外交みたいなことをやっていたが、それらを一つにまとめるための布石だったのだ。
 緑娘の入れ知恵だけどね……(。-`ω´-)
 
 その緑娘の立場も明確にしておこう。
 彼女の夢であった世界の支配はこうして達成された。
 ならば、もう一つの、もっと昔から抱いていた夢も叶えてやろう。
 

「ハスキルよ、戦慄の島での婚姻はどうやっているのだ?」
「それはサセラム・アルデン=スルで二人の司祭が取り仕切っております」
「よし。俺はこのミド――ソニアと結婚する。式が終わり次第、彼女は王妃として扱い接すること」
「ご承知いたしました」
 
 セイドンやシルのように、一目をはばかって逢瀬などやっておるから、臣民が不信感を抱いてしまうのだ。
 最初から俺には心を決めた者が居るということを示してやれば、余計な火種はいくらか未然に防げるというものだ。
 

「というわけでワイド=アイ」
「はいっ」
「俺に付き合っている女が居るわかったら、どうするか? ま、この娘のことだが」
「はっ――、やつっ――、いえ、王妃として尊びますっ」
「よろしい。妙なそぶりを見せると、俺がお前を八つ裂きにした後、はらわたを引きずり出してそいつで縄跳びしてやる」
「は、はいっ……、ラムリーザ様」
 
 こいつはセイドンが女と会っていると予測して、女を探し出して八つ裂きにしてやるとか言ってた奴だからな。
 先に釘を刺しておく。
 ま、ワイド=アイごときが緑娘を八つ裂きにしようとしたところで、返り討ちに合って額か喉に穴を開けられるだけだろうがな。
 あと、最後の脅しがシェオゴラスぽかったよな? ――と思ったけど、はらわた縄跳びはじじいも同じこと言ってたような気がする。
 コピーはオリジナルに勝てないというのは真理であり、先代の猿真似ではダメなのだ。
 
 これで少なくとも、宮殿内に関しては、ある程度一枚岩になったことだろう。
 続いて、下々の有力者を集めて、少しずつ俺の思想に塗り替えていくのだ。
 
「では、これより新しい王の誕生を祝う祝宴の計画について――」
 

「陛下! オウティケンド・ジャンサの遣いです!」
「そんなに慌てて何事か!」
 
 次の祝いに移ろうかと思ったところ、一人のダーク・セデューサーが謁見の間に駆け込んできた。
 何やら酷く慌てているようだが?


「陛下、迅速な救援が必要とのことです!」
「なるほどな。結局上り詰めたとしても、どこでも使い走りを依頼されるのは一緒か。で、どんな依頼か? 言ってみい?」
「陛下、誤解を招いたのであれば、どうかお許しください。全ては私の責任です」
「かまわんよ、慣れっこだから。それにこれも発布しようと思っていたのだ。丁度良い機会だから言っておこう」
 
 ダーク・セデューサーを加えて六人に増えた臣下たちの視線が俺に注目する。
 いやん、こっちみんな!
 
「この先、戦うに当たり、諸君らに言っておこう。シェオゴラス王朝の過去はいざ知らず、ラムリーザ王朝あるかぎり、戦慄の島の軍隊は王が必ず陣頭に立つ! 俺の嫁もだ」
 

 つまり、こういうことだ。
 かつての友人は、やってのけた。
 ならば俺も、彼に負けないよう陣頭に立って戦うのみだ。
 王になるとはこういうことを言うんだろう? マーティン・セプティムよ。

 でも嫁は余計だったかな?
 まあでも緑娘なら、喜んで俺と肩を並べて戦ってくれるだろう。
 逆に言えば、俺と共に戦えぬものは、嫁となる資格は無いのだ。わかったかワイド=アイ。
 
「で、何?」
「ジャンサは王都防衛における最重要問題であると語ったのみです」
「王都防衛か。それは捨て置けぬな、話を聞いてみよう。で、ハスキルよ、この事態は何かな?」
「緊急のようですが、私は詳細を存じておりません」
「そっか」
 
 ハスキルのこれまでの博識はどこへ行ったのやら。
 
 それにしても、この世界の王になったというのに、まだまだ問題が起こる物だな。
 王都防衛ということは、恐らく俺が王になることに反対する奴が攻めてきたということだろう。
 精々「ラムリーザに制裁をッ! 戦慄の島に栄光あれッ!!」とならんようにするのみだ。
 
 
 
 
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©発行年-2021 らむのゲーム日記