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最後の仕事その1 ~ブラヴィル魔術師ギルドにて~

 
 時間にして、小一時間ぶりか?
 
 俺は、ムンダス――シロディールの大地へと戻ってきた。
 最後の仕事をやり遂げるために――
 
 

「アークメイジ、戻ってきたな!」
「もうしばらくの辛抱だ。いずれは俺がこの扉を閉じてやるさ」
「よろしく頼むよ! もうたくさんなんだ!」
 


 しかし、不思議な門だ。
 この衛兵は、この向こうにシェオゴラスの世界が広がっているとは知らないのだろうなぁ……
 
「あ、待てよ?」
 
 俺は、ある不安を感じてもう一度奇妙な扉を潜る。
 
 

「あれ? もう終わったのかしら?」
「いや、なんでもない。行ってくる――」
 
 再び扉を潜ってシロディールへ向かう。
 いや、桃源郷というものがあってな、一度出てしまうと二度と戻れないって逸話があるのだよ。
 
 緑娘の生きているあの世界は、俺にとって桃源郷のようなものだ。
 二度と行けない、戻れないとなると、辛すぎるからな。
 
 
 さて、まずはブラヴィルの魔術師ギルドに行って、クッド=エイに報告してギルドメンバーを安心させないとな。
 扉はいずれ俺が塞ぎますよ、と言っておけば、たぶん安心してくれるだろう。
 
 
 
 ブラヴィルにて――
 

 街のほぼ中央にある広場。
 かつてここには、幸運の老女像なるオブジェクトがあった。
 それは、実は夜母――ナイト・マザーの宿る、闇の一党を導く存在であった。
 しかし、闇の一党との戦いで、俺はその像を破壊し、さらに姿を現したナイト・マザーまで滅ぼしてやった。
 
 すなわち、盗賊ギルドのグレイ・フォックス同様、闇の一党まで伝説と化したのだ……
 
 
 九大神の騎士についての仕事をしている時から、盗賊ギルドや闇の一党が動いている噂を聞いたことは無い。
 俺の働きで、帝国の悪の部分は一掃されたと言ってよいだろう。
 
 つまり、外敵の侵略もない限り、ドラゴンボーン――皇帝の血筋が途絶えた状態でも、帝国は安泰なはずなのだ。
 俺が無理に皇帝の座につかなくとも、オカトー大議長なり、最悪セルヴァティウス・クインティリアスが帝位に就いたとしても、シロディールは平和なはずだ。
 
 

 魔術師ギルドへと向かうと、ギルドの建物前で読書をしているクッド=エイを見つけた。
 ん、天気のいい日には、外に出てお日様の光を浴びるのは悪くないのである。
 日光を浴びることで、体内時計がリセットされて――なんだったっけ?
 
「クッド=エイさんっ」
「なんでしょうか? アークメイジよ」
「よし、間違えなかったぞ。名前、覚えた」
 
 しかし、残念ながらアルゴニアンの顔は覚えられないけどな。
 同じ意味で、カジートの顔の区別もつかない。ジ・スカール先輩ぐらいは、なんとなく見分けがつくようになってはいるが。
 ブラヴィルのマスター、クッド=エイと覚えた。
 
 たぶん、会うのはこれで最後になると思うが……
 
 
「奇妙の扉の正体がわかりました。シェオゴラスの作った世界へと通じる扉です。要は、オブリビオン・ゲートみたいなものです」
「なんと、それは奇怪な……」
「安心してください。ブルーマで大いなる門、グレート・ゲートも閉じてきた俺です。今度の扉もきっと閉じてきてあげますよ。だからギルドメンバーや町の人に、不安がる必要は無いですよ、と言ってやって下さい」
「それは助かります、ありがとうございました。しかしお連れの姿が見えないようですが?」
「あ~……。マシューの推薦状の話は、もういいです」
「――? よいのですか? あなたと一緒に奇妙な扉について調査して来てくれたので、推薦状を喜んで出してあげますが」
「ん~、それじゃあ出しておいてもらえるかな」
「わかりました」
 
 
 とりあえずこれで、ブラヴィルの魔術師ギルドでの任務は終わりだ。
 マシウの推薦状は出してもらえたが、恐らく彼は戦慄の島から戻る気は無いだろう。
 ここで、彼の魔術師ギルドでの旅は終わったのだ。
 
 ついでに俺にとっての、シロディールでの旅もあとわずかだけどな。
 
 
 
 ブラヴィルの町を出ると、一旦南に向かった。
 先に確認しておきたいことがあるからな。
 

 左手に見えるニベン湾、そしてその中央に浮かぶ島。
 俺の記憶から消えてしまった生まれ故郷。
 第二の人生を歩んだ、シロディール。
 そして、たぶん第三の人生を歩むこととなる戦慄の島。
 
 この世界でのけじめがついたら、また緑娘と旅をしよう。
 たとえそれが狂気の神が支配する世界であろうが、緑娘と暮らせる世界なら楽園のようなものである。
 
 
 
 ブラヴィルと、レヤウィンの中間地点辺りに、それは存在する。
 

 シェオゴラスの祭殿――
 
 かつて俺は、この祭殿にうっかり立ち寄ったことで、レタスなどを強引に奪われ、スキャンプを十匹程まとわり憑かせようと脅され、ボーダーウォッチの集落で災厄を引き起こした。
 あの時は、シェオゴラスのやり方に怒りを覚えたものだが、今回の計らいは、どう捉えたらよいのだろうか……
 
 ハスキルの話では、デイドラの王の気まぐれで、ムンダス――現世で死んだ者がオブリビオンの世界で転生することがあるらしい。
 緑娘は死んだ。確かに死んだ。
 しかしシェオゴラスの力で、戦慄の島に復活したのだ。
 
 
 

 狂気の神シェオゴラスよ――
 
 今度はいったい俺に何をして欲しいのだ?
 また俺を使って、人々に迷惑をかけたいのか?
 
 
 それとも、狂気の神による、ただの気まぐれなのか――?
 
 
 
 
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