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ゲート・キーパー ~狂気の門の番人~

 
 ニベン湾に現れた奇妙な扉は、シェオゴラスの支配する世界への入り口だった。
 
 扉をくぐった俺たちは、そこでハスキルと名乗るシェオゴラスの執事に出会い、その世界についてほんの一握りの部分を聞いた。
 奥へ進んでシェオゴラスと対峙するか、見なかったことにしてシロディールに戻るか。
 
 俺はシェオゴラスに、『めっ!』 ――してやろうと考えて、マシウと共にその世界へ踏み込むことにしたのだった。
 
 

 フリンジと呼ばれる地――
 
 そこは、シェオゴラスの支配する狂気の世界に相応しいというか、やたらと巨大なキノコの目立つ場所であった。
 いや、キノコなのか木なのかわからない。両者を足して二で割って、木の大きさにしたような――
 
「とりあえず、道なりに進んでみよう」
「はいっ」
 
 俺はマシウを引き連れて、どこに続ているのかわからない道を進んでいった。
 その途中、ゴブリンと言うか何と言うか、初めて見る生き物に出くわした。
 挨拶をしようかと思ったが、普通に剣を振り回して襲い掛かってくるので、オーガみたいな野蛮な連中と認識。
 

 マシウに突っ込ませて、囮として扱う。
 魔術師ギルドの推薦状集めとなればマシウの任務だが、それは奇妙な扉について調査するところまで。
 その世界でシェオゴラスを探すとなれば、ギルドの範疇を越えた任務となる。
 

 だから俺も、本気で戦わせてもらう。
 むろん先日までの死霊術師との戦いで、手を抜いたつもりは無いけどな。
 
 

「う~む、いったい何者なのか」
「嬲り屋のグルマイトではないでしょうか?」
「なぜわかる?」
「そんな雰囲気ですし」
「お前は雰囲気で名前を付けるのな」
 
 半魚人とゴブリンを足して二で割ったような奴。
 そしてそいつが食っていたらしき、巨大なトカゲについては今は深く考えることを止めて、道を先へと進む。
 
 すると間もなく、不可解な物体に遭遇することとなる。


「なんだこいつは?」
「死を呼ぶ酒樽でしょうな」
「ほーお」
 
 何かの卵か?
 何かの繭か?
 
 見つかったのはそいつの消化粘液だけだった、気色悪っ!
 
 
 さらにしばらく進むと、今度は何だかよく分からない石像があったりする。
 

 さっき襲い掛かってきた奴に似ているような?
 まさかこいつが、この世界の住人ってわけではないだろうな?
 
「これは神か生き物か……」
「神は自分の姿を模って人間を作ったそうですよ」
「んじゃこいつは、さっきの奴の神ということで」
 
 怪しげな世界感丸出しである。
 メエルーンズ・デイゴンが支配するオブリビオンの世界も大概だったが、このシェオゴラスが支配するオブリビオンの世界も一癖も二癖もありそうな気がしてきた。
 破壊の世界と狂気の世界、どちらがマシだろうか?
 
 答えは、双方とも破壊するか門を閉じてしまうかのどちらかだね。
 
 

 さらにしばらく進むと、今度は建物が見えてきた。
 これはさっきの奴の住居か? ――と思ったけど、門のようになっている場所から見えるその先には、普通の人間が居るようだ。
 
 しかし油断してはいけない。
 
 この世界に足を踏み入れた者は、ニベン湾の島で扉から出てきたダンマーのように、狂ってしまっている可能性があるからだ。
 
 

「こんにちわっはっはっはっはっ!」
 
 念のために狂気を装ってみる。
 例えばゾンビに支配された世界があったとする。
 ある程度容姿が醜いと言われている者は、ゾンビに交じって「あ゛~う゛~」言っていたら、ゾンビも仲間だと思って襲ってこないという噂だ。
 狂気の世界では、これが普通だと考えよう。ハスキルも言っていたじゃないか、変わるのは俺の方だと。
 
「よぉ、俺はシェルデン。ここで一番の古顔で、パスウォールの長をしている。なんてたって、俺は責任感の塊のような者だからな」
「あれ、割と普通」
「どうした?」
「いや、なんでもないです。えっと、百戦錬磨のパストーレ提督?」
「村の名前はパスウォールな。それと俺はシェルデンな、しっかりしてくれよ」
「任せておけ……(。-`ω´-)」
 
 いかんな、先入観だけで行動してはいけない良い例となった。
 この世界でも、まともな奴は居るようだ。
 
 いや、まだ騙されてはいけないぞ……
 身なりが普通なのに、その実態は凶悪犯だというのも普通に有りうる。
 醜いジェイソンだけではないのだよ。マスクの下の見た目だけはすごい普通なマイケルという者も居るのだ。
 
 シェルデンの話では、元々廃墟だった村を再建してパスウォールの村に再建したということだ。
 彼を追ってきた者、シェオゴラスに呼ばれた者、様々な人間が生活しているそうな。

 
「え~と、ゲートキーパーってのが居るって聞いたのだが?」
「おう、狂気の門の番人な。ちょうどいい所に来たな、無謀な冒険者の一団がやってきたんだ」
「冒険者?」
「そうさ。ゲートキーパーがその一団を片付けるところを見に行こうぜ」
 

 そう言うとシェルデンは、フェラスという者と一緒に駆け出した。
 フェラスもゲートキーパーが戦っているところを見たいらしい。
 とりあえず俺も追いかけてみることにした。
 何にせよ、ゲートキーパーとやらがどんなものなのか確認しておく必要がありそうだ。
 もしもそいつがシロディールに災厄を引き起こしそうな存在なら、ついでに始末しておかなければならないからな。
 
 

 彼らとともに駆けつけた場所は、ちょっとした広場になっていた。
 その広場の奥で、巨大な何者かと、鎧で身を固めた一団が戦っていた。
 あの巨大なのがゲートキーパーか……
 
「あの奥にあるのが狂気の門か」
「そうさな。鍵はゲートキーパーに縫い込まれているらしいぜ」
「つまり、奴を始末しないとその先には進めないわけだ」
「はっはっはっ、あんたじゃ通れないさ。ゲートキーパーは、不適格な者が通らないよう見張っているのさ」
 
 どうやらこの世界には、俺の噂は流れてきていないらしい。
 ここの住民から見たら、俺はただの迷い込んだ者扱いってところか。
 ただし自分なら適格だろうと考えるのは、慢心でしかないけどな。
 
 

 う~む、強そうである。
 巨大というだけでフィジカル面で有利になるからな。
 

 右手と剣が一体化しているような、あの太い腕を振り回すだけで、並の人間なら軽く蹴散らしてしまうだろう。
 よく見ると、戦場の周りには骨が散らばっている。
 恐らくこれまでにも、何人もの冒険者がゲートキーパーに挑んで返り討ちに合ってきたのだろう。
 

 そしてゲートキーパーは、のっぺらぼうであることも判明。
 恐らく魔法生物か、人造人間か何かであろう。
 普通の生き物ではないことは確かだ。
 
 
 ………
 ……
 …
 
 
 そのうち、冒険者の一団は全員がゲートキーパーの餌食となり、そのリーダー格だけが残された。
 リーダーは一人になると、俺たちの方へ向かって駆け出したのである。
 
「強すぎる! 俺の部下は全滅だ! そこをどけ!」
「逃げるのかな?」
「違う! 転進だ!」
「左様でごじゃるか」
 
 要するに逃げると言うことで、リーダーは村の方へと逃げて行ってしまった。
 
「あーあ、そこら中血だらけだ」
「あーあ、良い物を見た」
「すっきりー」
 

 そんなことを言いながら、シェルデンとフェラスはゆっくりと村へと戻っていった。
 自分たちは戦わず、ゲートキーパーに挑んだ冒険者を、まるで闘技場で観戦しているかのように楽しんでいるのだった。
 どうせゲートキーパーに100Gとか、冒険者に100Gとかやっているのだろうな。
 今のところ、冒険者の勝ちはないが……
 

「さて、どうしようかね」
「一旦パスウォールの村に戻って、話を聞いてみては如何でしょうか?」
「そうだな。今ここで奴をぶっ倒してもいいが、奴は門に近づかないと襲ってこないようだ。慌てる必要は無いだろうな」
 
 ひょっとしたら、ゴーレムを眠らせた妖精の笛のような、便利なアイテムがあるかもしれない。
 俺たちは、一旦パスウォールの村に戻ることにするのだった。
 
 
 ただ、一つ未来が見えたような気がする。
 ここの住民は、いずれ同じことをしか言わなくなるだろうな。
 曰く――
 
 
『いやあ、あんたがゲートキーパーと戦うのを見たよ。狂気の門の番人が倒されると思った者などいなかったのに、あんたはそれを皆に見せつけてやったんだ! ハハハハハ!』
 
 
 ――とな……(。-`ω´-)
 
 
 
 
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