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ハスキル ~シェオゴラスの執事~

 
 オカトー大議長に頼まれる形で、俺はシロディールの新しい皇帝となることになった。
 
 しかし、その前に魔術師ギルドを安定させなければならない。
 そこでリリィさんに跡を継がせるのは良いとして、その為の手駒を集めることを、ギルドに対する俺の最後の奉公だと決めた。
 マシウの推薦状を集めてギルドに入れたら、俺はオカトー大議長の望みを叶えてやることにした。
 
 ただ一人、覇王としての道を歩むために――。
 
 

 しかしその俺の前に立ちふさがったのが、ニベン湾に浮かぶ謎の島だ。
 
 奇妙な扉が出現したという噂を聞きつけた魔術師ギルドブラヴィル支部。
 俺はそこのマスターであるクッド=エイの依頼で、謎の島にやってきた。
 
 ゲートから妙な人が現れた。
 俺の宿敵認定(?)されているデイドラの声が響いてきた。
 

 俺はこのゲートを閉じるために、ゲートをくぐった。
 恐らくこの先には、見慣れたオブリビオンの世界が広がって――
 
 

 ん?!
 
「どうぞ、お掛けになって」
 
 随分と平和的な場所だな?
 俺が予想していたのは赤く世界、オブリビオンの世界だ。
 
 しかしここは何だ?
 応接室――?
 
「礼儀正しく行きましょうか。どうぞお掛けください」
 
 正面のテーブルに掛けている男性は、穏やかに語りかけてくる。
 敵意は無いようだが?
 
 
 待てよ……(。-`ω´-)
 
 
 先ほどここから現れたダンマーの男は、頭がおかしくなっていた。
 つまり、その男はこいつに何かやられた可能性が高いわけだ。
 
 先手を打ってやつけてしまうか?
 
 しかし、この男性は何も仕掛けてこずに、俺が席につくのを待っているようだ。
 
 
「マシュー、どうする?」
「とりあえず従って、様子を見てみてはどうでしょうか?」
 
 小声でマシウと相談。
 彼の言う通り、様子を見てみるのも悪くない。
 俺はマシウに「あいつが怪しい動きを見せたら飛び掛かれ」と命じておいて、この場はとりあえず謎の男性の指示に従うことにした。
 

「どうだ、掛けてやったぞ」
「よろしい。さて、ご用は何でしょう? 扉についてですかな?」
「さっきのオブリビオンゲートについてか?」
「少し違いますな。しかし貴方は入り、ここまで至った。素晴らしいことですぞ」
 
 謎の男性は、穏やかに会話に応じてくれた。
 先程のダンマーについて聞いてみたところ、答えは「彼は勇者の資格が無かった」とのことだった。
 勇者か、そう言えば言っていたな。奴は勇者が必要なのだ、と言っていた。
 

「念のために聞いておくが、そちらは一体?」
「私はハスキル、シェオゴラスの執事です」
「やはりな……(。-`ω´-)」
 
 扉の外で投げかけられた声で、俺は思い出していた。
 俺をそそのかして、一つの村を恐怖に陥れるよう仕向けた奴のことを……
 ボーダーウォッチのカジートたちよ、すまないことをした。
 しかし、悪いのはシェオゴラスだよ。
 
「ここは一体何だ?」
「ここは戦慄の島の途上。私の後ろにある扉をくぐれば、狂気の君主シェオゴラス様の世界です」
「要するに、デイドラが支配するオブリビオンの世界のことだろう?」
「そういうことになりますな」
 
 なるほどそうか。
 オブリビオンの動乱で閉じて回ったオブリビオン・ゲート、そして赤い世界はメエルーンズ・デイゴンの世界。
 デイドラごとに独特の世界を持っていて、シェオゴラスの世界はこのように一見穏やかに見える世界だというのか。
 
 ハスキルの話では、シロディールに扉ができたのはシェオゴラスの意思であり、単なる出入り口だと。
 シェオゴラスが何を望んでいるのかは、ハスキル自身は知らないと。
 ただ、勇者となる定命の者を求めているのは間違いない。ただし、その意思を理解するのは無駄なことだと。
 
「あの方の意思はあの方のものであり、それは貴方も同じこと」
「どういうことかな?」
「貴方も己の意思で、ここに来た。呼ばれたのでなく」
「ぬ……(。-`ω´-)」
 
 そうだ。
 怯えている衛兵を見て、俺は自分の意思であの扉をくぐった。
 シェオゴラスに呼ばれたからではなく、シロディールにとって脅威となると思ったので、その脅威を取り除くために。
 もうすぐ俺の国になるのだから、臣民が安心して暮らせる世にするのは、皇帝の仕事であるのだ。
 
 これは俺にとって臣民としての最後の仕事であり、皇帝としての最初の仕事だ。
 そう、マーティンが即位するまで、深遠の暁と戦い続けたように――
 
「で、その扉の向こうはどうなっているのかな? 住んでいる人が居るのかな?」
「そこはフリンジと呼ばれる場所。不用意に王国に入った者、王に呼ばれて入った者、王の意思で蘇った者、様々な人が住んでおりますな。ただ、彼らは今や王のものです」
「さっき聞いたゲートから出てきた者は、おかしくなっていたぞ。みんなああなっているのか? 治してやらないのか?」
「治す? これは異なことをおっしゃる。彼らは生まれ変わったのですよ。貴方も変わるべきです」
「何を言っておるのだ……。で、俺に何をしろと?」
「汝の成したいように成すがよい。道を戻るもよし、扉の先へ進むもよし。狂気の門を無事に越えれば、シェオゴラス神の目にも留まるでしょう」
「う~む……(。-`ω´-)」
 
 ハスキルの言葉ごとに考えさせられる。
 俺はどうするべきか。
 戻ってクッド=エイに「シェオゴラスの世界でした」と伝えれば済むだけの話なのか。
 それとも、シロディールに開いた扉を何らかの方法で閉じてしまうべきなのか。
 
「進むも進まぬもご自由に。もしも腹が決まったら、声をかけてください。良き返事をお待ちしております」
 
 すべて自分で決めろということか。
 選択肢は無数にあり、選ぶのは自分自身だと。
 
 
 オブリビオンの動乱では、オブリビオンゲートを開いたメエルーンズ・デイゴンを退治した。
 ――いや、追い返しただけか?
 
 それと同じように考えると、今回はこの扉を開いたシェオゴラスを退治――いや、追い返すことができるのか?
 
 
 この時俺は決めた。
 この先へと進んで、シェオゴラスと何らかの形で接触できることを祈ろう。
 そして接触できた時――
 
 あの時のことについて文句の一つでも投げかけて、『めっ!』 ――してやろうかと。
 
 シロディールの皇帝となるのは、それからでも遅くはあるまい。
 オブリビオンの動乱と同じく、ひょっとしたらシェオゴラスの動乱を未然に防げられるのかもしれないからな。
 
 
「わかりました。この先へ進みましょう」
「素晴らしい! 陛下もさぞや喜ばれましょう。無事に辿りつければの話ですが」
「…………(俺の底力を今見せてやる。シェオゴラスよ、俺を甘く見た報いを、俺をそそのかした報いをくれてやる)」
「まずは狂気の門を越えてください。ただし、ゲートキーパーにはご用心を。外の者を嫌っておりますからな。ではごゆっくり」
 
 そう言うと、ハスキルは席を立って扉の外へと出ていった。
 まずは平和的な交渉で終わったか――
 

「ん……?」
 
 その時、壁が崩れだした。
 いや、崩れたのではない。
 

「……蝶か」
 
 部屋の壁は無数の蝶と化して、いずこかへと飛び去ってしまったのだ。
 

 残されたのは、呆然としている俺とマシウ。
 
「……これからどうするか?」
「ら、ラムさんが決めてくださいよ」
「ふむ――」
 
 まあいいか、俺が決めたことに付き合わせるのも何だが――
 
「とりあえず戻って、クッド=エイに報告して推薦状を貰ってきてもいいのだぞ」
「ラムさんと行動を共にしますよ」
「ん、汝の成したいように成すがよい」
 
 いかんな、ハスキルみたいなことを言っている。
 まぁでもそれでもいいか。
 どっちみち、残る三つかクヴァッチを含めたら四つの推薦状を集める仕事も残っている。
 もう少しだけここを調査して、切りのいいところで一旦戻るとするか。
 シェオゴラスと対峙するのは、マシウを魔術師ギルドに放り込んだ後で、俺一人で向かってもよいわけだからな。
 
 

 
 俺はマシウと共に、狂気の王が支配する世界へと、その一歩を踏み出した――
 
 
 
 
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©発行年-2021 らむのゲーム日記