忠実なる従者 ~聖騎士のグリーヴ~

 
 聖騎士の遺物を探す旅は続いている。
 盾を手に入れて、これでメイス、盾、兜、キュイラス、篭手、ブーツと一通り揃った。
 そして再び九大神修道院へと戻ったところ――
 

 馬がまた増えているねー。
 ユニコーンも呼び出して連れてきておいた。
 指笛を吹けばどこからでも飛んでくる便利なやつ――ってわけでないけど、帝都の馬屋に置きっぱなしにしていただけでしたとさ。
 闇の一党として活動していた時は、身バレを避けていたからね。ユニコーンに乗るアークメイジとして有名――だと思うから。
 
 

 修道院に入ると、俺の姿を見るや否やかけてくる者が一人、セドレット卿か?
 
「どうしたセドレット卿」
「似ているけど違います、私はレイソンです! 大変です! 貴方の帰還をアーケイに感謝せねば! 悪い知らせがあります!」
「うろたえるな、松明の明かりを消してやるぞアーケイ信徒。何が起きた?」
「ロドリク卿が……、きっともう駄目でしょう……」
「誰や?」
 
 俺の記憶の中に、ロドリク卿という者は居ない。
 待てよ? サッチ砦で毒薬とすり替えて毒殺したような……?
 
「まさかサッチ砦で?」
「それは傭兵団長ロドリックです」
「紛らわしい名前だなぁ……」
 
 ひょっとしたら俺の知らないところで「ラムリザ卿」という人物が居るかもしれないね。
 ジスカルさんに、アリレさん。そっくりさんはどこにでも居るものだ。
 
 それで、レイソンという者がうろたえているのは、ロドリク卿という遺物探しの旅をしている者がトラブルを起こしたらしい。
 なんでも聖堂で祈りを捧げたところ、『ベリック卿の亡霊と話をした、我々は彼に安息を与えねば』と言うようになったという。
 そしてレイソンと共に、ベリック卿に関する古き名門ヴリンドレル一族の情報を集めていたところ、ロドリク卿は探し求めていた答えを見つけ出した。
 それはアンデルパル洞穴という場所にあり、そこへ向かった二人だったが、ロドリク卿はそこで殉死してしまったのだ。
 
「それで、君達は一体何を探していたのかな?」
「アンデルパル洞穴に、ベリック卿の墓を見つけました。実際には洞窟ではなく、土に埋もれた要塞状の遺跡でしたが……」
 
 ロドリク卿の情報では、在りし日のベリック卿は我々と同じように遺物を探す騎士であった。
 そして彼は、聖騎士のグリーブと剣を見つけ出したのだ。しかし、その後悪魔と化してしまったのである。
 そこでロドリク卿はベリック卿の墓の中でその遺物を見つけ出せると思っていたのだが、見つかったのはヴリンドレルの亡霊、ベリック卿の霊だった。
 その時にロドリク卿はそこで殉死してしまい、レイソンはグリーブを持ち帰るのが精一杯なのであった。
 
 しかしもう一つの遺物である聖騎士の剣は、ベリック卿の霊が使っていたという。
 その霊が使用していた剣によってロドリク卿は討たれてしまったのだ。
 レイソンは、聖剣が悪に転化したのではないかと考えているようで、もしそうならば剣を作り出したアーケイの祭壇に今一度捧げなければならないと言ってきた。
 その為に、もう一度アンデルパル洞穴へ行きたい。俺に手伝ってほしいと言ってきたのだ。
 まあいいだろう、聖剣を探す旅に出ようではないか。
 
 
 レイソンが旅の準備をしている間、まず俺は聖騎士の装備を身に付けてみた。
 

 見よ! これが聖騎士の姿だ! 神々しいだろう!
 
 …………
 
 やっぱり趣味じゃない……(。-`ω´-)
 聖騎士の役目はマシウに任せよう。彼の方は上手くいっているのかな?
 
 

 修道院の地下室に行ってみると、新顔が加わっていた。
 
「ごきげんよう、騎士よ! あなたが聖なる騎士団を結成したと聞いてすっ飛んできました!」
「これはご苦労様」
「私はグキミール、あなたに剣を捧げます! 入隊の為にはるばるスカイリムから馳せ参じてきました!」
「スカイリムとはどんな国なのかな?」
「ノルドの国です、スカイリムはノルドのものなのです! リーチもフォースウォーンなんかにくれてやりません、全部ノルドの物です!」
「そうか、がんばってくれたまえ」
 
 シロディールにはいろいろな国からいろいろな種族が集まっている。
 例えばジ=スカール先輩のようなカジートはエルスウェア出身だし、アリーレさんのようなブレトンはハイロックが故郷だと聞く。
 そして北国スカイリムはノルドの物、リリィさんは褐色肌だからレッドガードだとすればハンマーフェルだ。
 俺はどこ出身なのだろうか……
 

 そんな感じに、騎士団はどんどん人員を増やしつつある。
 ここらで一つ、メンバーを整頓してみようか。
 
 

 まずは最初に加わってくれた、アレルディア卿。
 元コロールのステンダール聖堂で司祭をやっていた者。
 俺が呪いの肩代わりをするという雄姿に惚れて、真っ先に騎士団入りを望んだものだ。
 

 そしてキナレスの司祭だったが騎士団入りをした元神官のアヴィータ卿。
 彼女だけは修道院の脇にある聖堂に住み着いているようだ。
 紅一点であるが、残念ながらおばさんである。
 いや、残念ではない。都合よく美少女が集まると考える方が間違っている。現実とはそんなものだ。
 例えばレヤウィンの高名なる騎士を思い出してみるがよい。
 

 地下室の人形相手に訓練しているのが、セドレット卿。
 ブルワーク砦では弓矢を使わないコンジュラーに膝を射抜かれて負傷したために共闘してくれず。
 しかしその後、衛兵になる道には進まずに騎士団入りを果たしてくれたようだ。
 

 そして鍛冶屋のサルジアス・トゥリアヌス。セドレット卿の友人で、彼が騎士団に加わると決めた時についてくることを決心したそうだ。
 修理の成功率はどのくらいかな?
 98%の成功率なら合格。90%だと落第だ。
 ちなみに俺自身での修理成功率は100%だから頑張れよ。
 

 そして加わったばかりのグキミール卿。
 スカイリム出身の――先程既に説明済み。
 

 グキミール卿と実戦訓練をしているのが、ガイムンド卿。
 誰だこいつは?! いつの間に加わった?!
 
「えっと、ガイムンド卿、君はどこから現れたのだね?」
「おおっ、ラムリーザ殿。マシウ殿からその名は聞いております!」
「なるほどそっち経由で参加したのね、よろしい励みたまえ」
 

 そして最後に、これから共にアンデルパル洞穴へ向かうこととなったレイソン卿。
 
 俺とマシウを合わせて、総勢9名の騎士団となっていたのであった。
 9名……、九大神だから9名とこじつけるのはよいが、この人数だと騎士団というより騎士同好会だ。
 せめてこの10倍は人員が欲しいな……それで90人、軍団としては一個中隊ぐらいか。
 今のままだと、軍隊で言えば班レベルだぞ、と。
 
 まぁブレイズも一個小隊にも満たない人員だったけどな!
 
 
 
 




 
 
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Posted by ラムリーザ