home > 投稿 > > 新たなる旅立ち ~ジ=スカール先輩の出世~

新たなる旅立ち ~ジ=スカール先輩の出世~

 
「ラムリーザよ、飲め。の、飲め、ラムリーザ」
「といいながら自分が飲んでいるのは何故ですか先輩」
 
 この日は昼間から昼食という名の酒盛りである。
 ジ=スカール先輩は、俺の凱旋記念にと開催してくれたわけであるが、要は自分が飲みたいのだと。
 先程から俺に飲めと言うものの、飲めといいながらひたすら自分が飲んでいる。
 
「ラムリーザ殿はアークメイジではないのか? なぜそのカジートはそんなに偉ぶっているのだ?」
「いやいやマシュー君、これにはいろいろと深い事情が――」
「ジ=スカールはラムリーザの先輩だ。後輩がアークメイジになっても、ジ=スカールが先輩だという事実は変わらない」
 

 先輩は、いつものジ=スカール論を提唱しながら、今度は俺の方へ瓶を差し出してきた。
 しかし届いていない。
 
「先輩っ、まけよるまけよる」
 
 俺は指摘してやったが、先輩はどぼどぼと二人の間にビールを注いでいる。
 酔っ払いすぎだろう、まだ昼だぞ?
 給仕役をこなしてくれているニラーシャも呆れ顔だ、しっかりしてくれ先輩。
 それにしてもこのパックマン型のチーズ美味いな。
 
「まけよるって言ってるだろが!」
「ジ=スカールは勝負などしていない」
「何を言っているんだよ」
 
 ぜんぜん会話が成立しない、ダメだこりゃ……
 
「こぼれているのではないかい?」
「だからそう言っている!」
 
 どうやらマシウはわかってくれているようだ、しっかりしてくれ先輩!
 とまぁこんな具合に、ささやかな宴会は進行していった。
 
 しばらく経った頃――
 

「ジ=スカール、そろそろよいのではないですか?」
 
 そこにリリィさんが現れて、先輩に何か言い出したぞ。
 先輩もそれを聞くと、唐突に酒盛りを切り上げだしたのだ。
 ん? 全然酔っ払ってないじゃないか。
 それならなぜさっきまけよると指摘してやったのに反応しなかったのだ?!
 

「――で、何が始まるのですか?」
 
 リリィさんが話を持ち込んだところで、先輩とニラーシャが酒盛りモードを解除したのが不思議だったので尋ねてみた。
 
「ジ=スカールは、スターク島の管理人として派遣されることになった」
「ほー、ポーレの後継者に立候補したのですね」
「その通り。ラムリーザも戻ってきたことだし、そのタイミングで赴任することになっていたのだ」
 
 オブリビオンの動乱の最中、魔術師ギルドのメンバーはアンヴィルの西にある島、スタークへ行ったことがある。
 その島の町は豊富な金鉱の上にできており、ポーレ金鉱と呼ばれていた場所では、劣悪な環境の下で鉱夫は元管理人のポーレにこき使われていた。
 そんな中、地下遺跡の探索の最中に、復活した太古のリッチによりポーレは殺されてしまったのだ。
 そこで管理人不在となった鉱山を魔術師ギルドが管理を引き継ぎ、新しい管理人を選出するといった話になっていたところだ。
 そこにジ=スカール先輩が自ら立候補したようで、管理人として赴任することになったようだ。
 
「それではジ=スカール、それは置いていきなさいね」
「ダメだ、この金塊はジ=スカールのものだ」
「金塊ならスタークに行けばいくらでも手に入るでしょう?」
「う、そうだったな」
 
 先輩はしぶしぶといった感じで、金塊のたくさん詰まった袋をテーブルに置いた。
 しかし俺は思う、この人事は大丈夫なのか?
 ポーレのように鉱夫に対する圧政は無いだろうが、新しい管理人はギルドにちゃんと金塊を納めてくれるのだろうか?
 横領という新たな不正の温床にしかならないような気がするが、信じてやるからな先輩、ちゃんと仕事しろよ。
 

 オゥム・クォート・オゥム酒場前で、アリーレさんと合流。
 これからアンヴィルへの大移動が始まるので、バトルメイジのアリーレさんはさしずめ護衛といったところか。
 
「アークメイジ殿」
「なんだいマシュー殿、ラムリーザでいいぞ。ただし、グランド・チャンピオンは禁止」
「ではラムリーザ――、ラムさん」
「ん、それでよい。で、何か思うところでもあるのか?」
「ラムさんはアークメイジだよね? でもなんだかまとめているのはあのリリィって人みたいだけど」
「俺は戦闘力は高いが、管理とか人事とかは苦手だから、リリィさんやラミナスさんに一任している。全部一人で抱え込むことはないのだ、適所適材を見抜く目が重要なのだよ」
「なるほど。しかしあのカジートの先輩とやらを、金鉱の管理者にして大丈夫なのかな?」
「それは自信が無い……(。-`ω´-)」
 
 まぁ先輩がやりたいと言うからやらせるのでもいいと思うことにしてやる。
 最善をつくしてもだめなものはだめ、手の届かない場所のことをいくら心配しても手は伸びないのだ。なのでここは、やりたい奴に任せるのが一番だと考えよう。
 イタズラがやりたいから、新しいブルーマの支部長にはなりたくないと言っていた頃と比べると、先輩も成長したと見てあげるのが後輩の役目――なのかな?
 まぁニラーシャも同行するみたいだから、彼女の方がしっかりしていることを期待しよう。
 
 というわけで、アンヴィルへの大移動開始。
 ジ=スカール先輩とニラーシャ、そして護衛のアリーレさんだけで行ってもいいのに、なぜか俺まで同行しなければならなくなってしまったのだ。
 
「後輩は先輩を見送りに来るものだ」
 
 また謎のジ=スカール・ルールが発動しただけ。韻を踏んだ美しきルール――じゃねーよ!
 そして大学の門を抜けたところで、一人の少女に遭遇した。
 
「ねぇねぇラムのお兄ちゃん、ソニア姉ちゃんの仇取ってくれた?」
「ミーシャちゃんか、ばっちり取った。二度とソニアのような被害者は生まれないだろうよ」
 

「グッジョブ!」
 
 ミーシャは、俺の鼻先目掛けて親指を掲げてきた。
 こんな少女を不幸にさせるのだ。闇の一党がどれだけ罪な存在か、馬鹿でも理解できるものだろう。
 
「ねぇねぇ、みんな集まってどこに行くの~?」
「俺達は、遠い遠い国に行くんだよ」
「ミーシャも行きたいっ!」
「あいやまぁ、なんというか、ね?」
 
 俺は近くに居たアリーレさんの方を振り返った。
 すると彼女は、笑顔で頷いたのであった。
 
「それじゃあみんなと離れるんじゃないぞ」
「やったぁ!」
 
 聞くところによれば、ミーシャは以前はレヤウィン近郊のみを活動拠点にしていて、帝都に来てからは帝都のみを活動拠点にしていた。
 小さな子どもということもあり、一人で遠くまで出歩くということは無いみたいだ。
 だから帝都とレヤウィンしかしらないのだ。
 
 そっか、余生はミーシャの為に尽くしてやるのも悪くないな。
 もともと緑娘はミーシャの面倒を見るのが好きだった。
 それを俺が引き継いでもよいわけだ。
 そのうちミーシャにも、全ての町で推薦状を書いてもらい、正式に魔術師ギルドのメンバーに加えてあげるべきだろう。
 なにしろ錬金術の分野に置いては、俺をしのぐ知識を持っているからね。
 いや、俺が全然知らんだけで比較対象として相応しくない。ジュリアン・ファニス辺りと比較するか、彼女の生徒としてさらに多くを学ぶかだろう。
 

 さあ出かけよう、アンヴィルへ!
 
 
 ………
 ……
 …
 
 

 はい到着、ファスト・トラベルちゃうで。
 ――ってなんやそれは!
 
「港町だー。ミーシャ、海を見るのは初めてなんだー」
「レヤウィンにも近くに海はあるぞ」
「あ、初めてじゃなかったー。残念なの」
 
 何が残念なのかわからないが、ミーシャにとっては残念なのだろう。
 そして、以前利用したマグニティセント号でジ=スカール先輩とお別れ。スタークへの連絡船だ。
 
「先輩、ニラーシャさんと結婚しないのですか?」
「む……、ジ=スカールは、ラムリーザとソニアに気を使っていたのだ」
「ならばなおさらだよ。別に俺に合わせなくてもいいですよ」
「それじゃあ、スタークの教会が復活したら、そこで結婚することにする」
「ん、それいいね」
 
 元鉱夫のウィンストンは、スキングラードの教会での勉強捗っているだろうか。
 いずれは彼がスタークの教会を、建て直してくれるだろう。
 

「それじゃあ先輩、元気で!」
「ラムリーザもな! 後輩は先輩に負けないぐらい元気であるべきなのだ」
 
 また謎のジ=スカール・ルール発動。
 でもそのルールには従ってやろうかな。
 俺もいつまでも過去を引きずっているわけにもいかない。
 緑娘は俺の復讐は望んでくれるだろうが、俺が沈み込むのは望んでいないだろう。
 
 ジ=スカール先輩の旅に幸多からんことを!
 そして金鉱管理者としての不正が少なからんことを!
 俺が祈るのは、それだけだ。特に後者! 頼むぞ先輩!
 
 

 そして、リリィさん、アリーレさんとはここで一旦別行動ということになった。
 今回のことをアンヴィルの支部にも報告、そして金鉱管理者グループとして数人派遣するようだ。
 やっぱり先輩、信頼されてねーんでやんのw
 まぁ俺もそれに関しては、リリィさんの判断に同意しておくことにした。
 
「ところでアークメイジよ」
「なんですか?」
「アンヴィル教会への襲撃という噂が流れています」
「またか?」
 
 俺は、スタークでの事件を思い出していた。
 あの時はポーレの策略で神父は殺害され、島の教会は破壊されつくしたものだ。
 
「あなた向けの話だと思いますよ。『気分転換』に、首を突っ込んでみては如何ですか?」
「うむ、そうしてみよう」
 
 リリィさんなりの気の使い様だろう。
 これまでの俺は、復讐心をよりどころにして生きていた感がある。
 そして復讐が終わったら、そのための礎となった犠牲者達に詫びるつもりで――
 
 そうだな。
 もうちょっとだけ、シロディールで生きてみるか……
 
 
 
 
Sponsored Links



 
 
 前の話へ目次に戻る次の話へ

return to page top

©発行年-2020 らむのゲーム日記