封じられた地 後編 ~ジル=スゾット~

 
 クウァッチの地下に広がるアイレイドの遺跡探索後半の話だ。
 

 水浸しの広間で、壁に隠された通路を発見して進んだ場所はこんなところ。この広間は上下二層になっている。
 傍に転がっているのは、ここにも現れた幽霊戦士。
 

 まずは上の層から探索してみると、通路の先は三方向が鋼鉄のシャッターで閉ざされた場所となっていた。
 シャッターの向こうは、一箇所は狭い場所にスイッチがあるだけ。もう一箇所はスイッチと奥に続く通路。最後の一つは何もない通路が続いていた。
 

 先程と同じように、閉ざされた扉の前で緑娘を待機させて、俺は下層の探索へと向かった。
 恐らくはここもスイッチを探すことになるのだろう。
 しかし下層は結構広くて、探すのに時間がかかってしまった。
 

 後から追加調査する研究員のために、ここも記録を残しておく。
 下層西側にある通路、その中央付近の壁の引っ込んだ辺りにスイッチは隠されているから見つかりにくいからね。
 

「どうなった?」
「北側のシャッターが開いたわ」
 
 北側の通路は、スイッチも何もない通路だった。
 
 その後、通路の先にあるシャッター前にあった石の感圧板を踏むがシャッターは開かない。
 んで、一旦三叉路に戻ると、スイッチしかない狭い場所のシャッターが開いているので、そこでスイッチを押す。
 すると通路の先にあったシャッターが開くといった、ちょっと手間のかかる往復をして少しずつ奥へと進んでいく。
 
 

 すると、謎かけみたいな石碑がある小部屋に辿りついた。もう一つ通路があったが、そちらはシャッターで閉ざされているのだ。
 小部屋の中央には太い柱があり、周囲には四つのスイッチ。それにはそれぞれ「太陽」「月」「宝石」「斧」と彫られている。
 適当にスイッチを押そうとしても、ここのスイッチは引っ込まなかった。
 
「何か仕掛けがあるのかな。その石碑に何と書いてある?」
「木こりは夜明け前に斧を振るう。月が沈みし後、赤き太陽は昇る。眩き宝石は多大な労力を経て陽の光の下で見つかるであろう。夜空に輝く銀月は最初に現れ全てを照らす。こう書いてあるわ」
「斧に、月に、太陽に、宝石か」
 
 この順番でスイッチを押してみる。
 しかし、何も起きなかった。
 
「順番が違ったかな?」
「銀月は最初に現れ、と書いてあるわよ」
「ん、月が一番か」
 
 そこで、月→斧→太陽→宝石の順番でスイッチを押してみた。
 

「あっ、柱が引っ込んでスイッチが現れたわよ」
「正しい順序でスイッチを押すことを求められたのだね」
 
 ちなみにエクソダスを封印するには、愛→太陽→月→死の順番で石版を捧げるのだぞ。
 どこかで必要になるかもしれないから、ちゃんと覚えておくように。
 

 その後、このスイッチを押すことで先程シャッターで閉ざされていた通路が開き、その先は最初の三叉路で、スイッチの先に伸びていた通路に繋がっていた。
 広間の中を行ったり来たり、いい運動になるね。
 しかしこのスイッチを押しても、目の前のシャッターは開くことはなかった。
 別のどこかに、新しい通路が現れたのだろう。
 

 それは、先程謎かけのあった小部屋の前の壁だった。
 その壁が開いて、その先に洞窟が続いていたのだ。
 
 しばらく洞窟を進むと、再びアイレイドの遺跡へと戻ってきた。
 

「えーと、罠だね。穴の中から針が見えているよ」
「床が沈んでも、端っこに立っていたら串刺しにされないんじゃないのかしら?」
「その通り、この端渡るべしってことだ」
 

 その作戦で、壁沿いに沈みながら進み、入ってきた場所からすぐ隣にある扉へ、最短距離で辿りついたのであった。
 
「我はジル=スゾット! 我の住処に侵入せし者は誰ぞ!」
 
 その扉を通り抜けた先にあった広間に入ったところ、突然何者かが語りかけてきた。
 振り返ると、巨大なトロールが、こちらに飛び掛ってくるところだった。
 ジル=スゾットだと? 固有名詞付きのトロールとやらも珍しいものだな。ウダーフリクトみたいなものかな?
 

 トロールは炎に弱い、これ豆知識ね。
 体力の自然治癒能力を持っているので、ちまちま物理攻撃でダメージを与えるより、こんがり焼くほうが効率的に退治できるのだ。
 あと、トロールは文字を書いたりするので、話せないとは限らない。
 

 トロールの名前は本当に「ジル=スゾット」だったらしく、トロールのくせに名前つきのアミュレットを持っていたりするのだ。
 呪文の吸収か、あまり必要無さそうだけど珍しいアミュレットなので貰っておく。
 

 この広間は、中央辺りで鉄格子で隔てられていた。
 奥には進めないようだ。
 

 しかしよく見たら、ここは最初の方で辿りついた、堀のあった広間と同じ場所だった。
 堀の向こうは鉄格子があって、別の所からしか入れなくなっていたのだね。
 
 さて、ここは行き止まりで他に進める場所は無かったので、再び落とし穴と針の間に戻ってきた。
 

 壁に沿ってぐるりとまわってみると、一箇所壁が崩れていて洞窟状の通路が奥へと続いていた。
 しばらくは、洞窟を進んでいくこととなった。
 

 その奥にあったものは――
 
 
 クウァッチの地下に広がるアイレイドの遺跡探索はまだまだ続く――

 
 
 
 




 
 
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Posted by ラムリーザ