情報収集 ~スタークの噂~

 
 さて、俺は現在間抜けの島スタークに滞在している。
 リィさんは、金塊の仕入先を得る為に、ジ=スカール先輩とニラーシャはバカンスを楽しむため、それぞれ別行動となった。
 それで今俺の傍に残っているのは、緑娘だけとなった。
 
「君は別行動しないのだね」
「あなた、逃がさないわぁ」
「逃げんって」
 
 そういうわけで、緑娘と一緒にスタークを見て回ることにする。観光旅行になってるな。
 
 

 まずは、港近くにある大きな像。
 台座には、海軍大将のアルモンディアン・スターク一世と書かれている。
 どうやらスタークは人の名前らしい。スタークという人が作り上げたから、スターク島と呼ばれているようだね。
 それがいつの間にか、単語の意味から想像されて、間抜けの島スタークと呼ばれるようになった、ということかな?
 世の中には「エロマンガ島」とか「バカ山」「チンコ川」という物があるから、油断してはいけないよ。
 
 そして町から港への道を巡回している衛兵が居たりする。
 しかしこの衛兵、俺の顔を見るなり一瞬固まった。そして次の瞬間、満面の笑みを浮かべて握手を求めてくる。
 嫌な予感しかしないな――
 

 こんな離れ小島まで、俺の名声は轟いているのか……(。-`ω´-)
 ホント、よっぽど他に楽しみの無い国なのだな。
 一ヶ月も前の出来事を、未だに新鮮に喜んでくれる。絶対ワナだよこれは……
 
 さて、スターク一世の石像があった場所から一番近い建物から見ていくぞ。
 

 ここはスターク砦と呼ばれている場所。
 灯台と並んで、港からよく見える建物だ。
 

 中に入ると、衛兵達ばかりである。
 どうやらここは、衛兵の詰め所のようだね。
 一番目立つ鎧を着た、まるでレックス隊長のような人は、キャプテン・カルリッリョ・スタークで、この島の軍隊長だと言う。
 スターク一族の一人か。海軍大将とか軍隊長、軍隊が支配する島なのかな。
 
 彼の話では、苦情があるならオレニウス・フィロに会いに行きたまえ、とのことらしい。
 オレニウスは彼の部下で、中尉なのだとさ。この人も民間人救出して、大尉に六時間就任した後で、少佐に昇進できるかな?
 
「ところであなたは……、そうだ!」
 
 軍隊長カルリッリョは、俺の顔をじっと見つめた何かを思い出したようだ。
 分かっているよ――
 

 あだ名ちゃうで、リングネームや。
 スペルスリンガーって、適当につけられたリングネームまで広まっているのだな……(。-`ω´-)
 そういえばブッチャーとかザ・コブラとかは、緑娘に否定されたっけ。
 どうでもいいけど、新しいパターンで来たな。
 
「ところでグランド・チャンピオン殿」
「なんですか軍隊長殿」
「私はジョヌニとセルヴィア・アマティウスが結婚の危機にあるということを耳にしました。デュピネオンなら、もっと詳しく知っているでしょう」
 
 軍隊長は噂話を語ってくれたが、やはりこの島では俺の立場はグランド・チャンピオンなのだな。
 おそらく魔術師大学や、オブリビオンの動乱については、あまり情報が流れてきていないのだろう。
 そして結婚の危機か。俺は緑娘と結婚するしかない未来のようだが、それは危機になるのかな?
 
 

 次に訪れたのは牢屋。
 特に見る必要はないが、俺も囚人として長い時期を過ごした事があるので、他人事とは思えない場所なのだ。
 

 囚人は一人だけ、開脚のベルガという女性だ。
 開脚のということは、誰にでも簡単に股を開くってことなのかな?
 彼女は俺に対して、「罰金を代わりに払ってくれるのでなきゃ、会っている意味がわからない」などと言ってきた。
 たしかに見知らぬ人に対して保釈金を払ってあげるのも妙な話だ。
 特に何もないまま、牢屋を後にする。
 
 

 次に訪れた場所は、宴会でもやるための場所なのか、ちょっとした広間になっていた。
 中央に柱が四本立っていて、その周囲に椅子が四つではなく三つ並んでいた。不自然だな。
 
「よし、椅子取りゲームをするぞ」
「突然何を言い出すのかしら?」
「ルールは知っているな、それではスタート。はぁ俺がーのー方にーもーでーかけて来い――っ」
 

 歌が突然止まり、それを合図に椅子に急いで座る。
 
「ぬ、二人とも座れたか」
「二人に対して椅子が三つあるのだからあたりまえでしょ?」
 
 ん、しょーもないことやってないで、他を見て回るか。
 
 

 砦の通路で、また別の衛兵に出会った。
 彼が、軍隊長の言っていたオレニウス中尉だった。
 
「苦情」
「は?」
「んや、隊長が苦情はあなたに言うよう言われたから」
「そうなのだ。ここは静かな島なのだが、我々は時々多くの繊細な苦情を受けるのだ」
「例えばどんな?」
「衛兵が水を飲んでいたら市民から苦情が入るんだ。ほんとに腹立たしいことだな」
 
 俺も先輩が金塊を欲しがると苦情を入れようかな。
 魔術師大学だと、苦情の入れ先はどこなのだろうか。
 
「ところでグランド・チャンピオン」
「なんだね中尉」
「私はデュピネオンとセルヴィウスが、ちょっと前に埠頭で何かを失くしたと聞きました。それは何だったのでしょうかねぇ?」
「そんなん知らんわ」
 
 噂話その二、埠頭で失くした物は何か?
 俺が思うに失くした物は、「たぬきがこけた」とかつぶやいていたらそのうち出てくると思うのだよね。
 まぁ噂話なんてそんなもの、とりあえず聞き流して次行ってみよー。
 
 
 

 砦は全て見終わったので、次はスタークの教会に行ってみるぞ。
 この島では、何を信仰しているのかな?
 

 ちょうど礼拝中だったらしく、白いローブを着た神父さんが、神を称えよー、晴れるやーなどと言っている。
 ん、像が無いな。偶像崇拝ではないのか。晴れるやとか言っているので、良い天気を願っているのかな。
 神父の名前はアンブロギオ。弱き者の保護者にしてナイン、九大神の使いだそうだ。なんだ、同じか。
 

 俺も一応お祈りしておこう。
 
「今日も明日も良い天気になりますように、晴れるやー! 緑娘を本当に愛しているー!」
「あっ! また緑娘って言った!」
「1から4まで数えたら、彼女がドアをノックしてくれるんだー!」
「ごまかさないで!」
 
 

 というわけで、礼拝中のみなさんにもスタークでの噂話を聞いてみよう。
 
 前の席に居るのはエウリウス夫妻。
 旦那のカッシンドリアンは、奥さんの自慢をした後で、この島はアルドメリの支配からコロヴィアを守るのに役立ったと教えてくれた。
 アルドメリとはハイエルフの勢力で、主にサマーセット島で組織されているというのだ。
 そうか、サマーセット島は南西にある島だと聞いているから、この辺りはシロディールの防衛拠点になりそうだね。
 平和と秩序を望んでいる奥さんは、ホラシア。
 スタークは素敵な島なので、去るのは嫌だと言っている。
 
 後ろの席に居るのは、エウリウス兄弟。なんだ、一家揃って礼拝していたのか。
 アレニオンとアマリウスは二人ともこの島で商売をしているようだが、今は礼拝の時間なのだとさ。
 ここにはオブリビオンからのモンスターもいないので、嵐が終わるまでじっとここで待つと言っている。うん、それも正解と言えば正解だね。
 

 いや、もうわかったから……(。-`ω´-)
 
 
 
 気を取り直して、島の東部へと向かってみる。
 

 その途中で、ブロンド美人に出会った。
 こういう人とおしゃべりしていたら、緑娘は不機嫌になるから立ち話はさっさと切り上げたほうがよい。
 彼女は、モリハザ・スターク。この人もスターク一族の一人か。
 
「私達の島にようこそ。もしかしてあなたは、キンタイラ二世号でいらっしゃったのですか?」
「いや、違うよ。確かマグニティセント号だったと思います」
「そうですか……。すみません、説明させてください」
 
 そこで彼女は語りだした。
 数ヶ月前にウェイレストという場所に家族旅行で行ったのだけど、そこでジャン・シスコッテという人に出会って恋に落ちたと。
 しかし父のカッシウスは結婚を許してくれないでしょう、というものだった。
 でも二人は諦めず、ジャンは懐に余裕ができ次第、船を見つけると約束をしてから別れたのだ。
 その後父は、偶然に鉱山に関する投資の取り引きという素晴らしいビジネスを見つけて、彼女と彼女の兄は父を残してスターク島に帰ってきたという。投資の取り引きということは、ブローバック発掘社のことだろうね。
 そして数週間経って今に至るが、父がキンタイラ二世号に乗って帰ってくると手紙が届いたのだ。
 それと同時に、恋人のジャンもスタークに来る方法を見つけたという知らせが届いたという。船の乗組員として、働いていると。
 それはつまり、二人ともキンタイラ二世号に乗って島へ向かっているということなのだ。
 彼女は、父とジャンが同じ船でお互いの存在に気づいていないか不安になっているのだ。それに、船は酷く遅れているらしい。
 船の到着を知らして欲しいと灯台を訪ねたが、そこに住むジュリア・バッシラという人は教えてくれないというのだ。
 
 そこで俺に、助けて欲しいと言ってきた。灯台に行ってジュリアに会って、何か見たか聞いてきて欲しいのだそうだ。
 
「わかりました。すぐには動けませんが、いずれは手伝ってあげます」
「ありがとうございます」
 
 しかしこの話は一旦ここで終わらせることにした。
 もうちょっとスターク島を巡ってからにしたいものだからね。
 そしてモリハザと別れて、さらに島の東部へと向かった。
 
 

 すると、一軒屋の裏で、昼間から酒を飲んでいるおっさんを見つけた。ジ=スカール先輩みたいな人だな。
 
「おーおー、あんた! 俺は酔いどれのトムって言われているんだ。あんたの知りたいことはなんでも話してやるよ」
「始めましてトムさん、私はジェリーです。仲良く喧嘩しましょう」
 
 意味も無く偽名を使い、俺はこの酔っ払いにも島の噂話を聞いてみた。
 トムは、鉱山について詳しいようで、この近くにはポーレ金鉱という場所があると言ってきた。
 金鉱! リリィさんの目的はこれだったか!
 トムはさらに、鉱夫はみんなポーレという人に腹を立てているらしい。特にウィンストンという鉱夫は、最近ではもう悲嘆に暮れているのだとさ。
 あと、鉱夫のサマルトが、鉱山で何か奇妙な物を見つけたと聞いたらしい。器用貧乏な人なのかな?
 
 
 以上、ここまでに四つの噂話を収集したのだ。
 
 

 島の最東端に到着。海を挟んで、遠くにアンヴィルの灯台が見えるね。
 
「それで、お人好しのラムリーザさぁん。あなたは誰から助けるのかしら?」
「そうだなぁ、やっぱり金鉱かな」
 
 四つの噂――
 
・ジョヌニとセルヴィア・アマティウスの結婚問題
・デュピネオンとセルヴィウスが、埠頭で失くした物
・キンタイラ二世号が遅れている理由
・ポーレ金鉱の鉱夫の悩みと、鉱山で見つけた何か奇妙な物
 
 現在一番関心があるのは、やっぱり金鉱でしょうな!
 
 
 
 




 
 
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Posted by ラムリーザ