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影より来る者 後編 ~伯爵の後継者~

 
 え~と、クヴァッチの後継者問題を解決すべく、動き回っている。
 最初の手掛かりだったイルノリはペンネームで、本名はモルヴィリアンということがわかった。
 そしていろいろあってソルト・マーシュ窟に監禁されていたところを救い出したところだ。
 

 モルヴィリアンは牢を出ると、そのまま洞窟の入り口へと向かっていった。どこへ行くのか?
 
 彼に、クヴァッチの伯爵のご子息アリナーについて尋ねると、それは友人だった狼だと答えた。
 なぜ狼にその名前をつけたのか? などといろいろと尋ねてみたいところだが、彼は「放っておいてくれ」とだけ言って、取り付く島もなくなってしまった。
 

 洞窟を出て、川沿いに進んでいく。俺達が後をついて行っても気にしないようだ。
 まぁ少し散歩して、考える時間を与えよう。
 彼は少々記憶があやふやになっているところがある。時間が経てば、クヴァッチの事も思い出すかもしれないからね。
 

 どうやら彼は、シェイディンハルへと戻っているようだ。
 本屋へ行くのか、小屋へ戻るのか――
 

 小屋でした。
 ここに居た月影団はもう退治してあるので、別に問題は無いけどね。
 軍団のボスらしきカジートも洞窟で始末したので、今後月影団が動き出すことは無いだろう。
 
「さてモルヴィリアン殿――」
「すまない、明日また来てもらおうか。今夜一晩考えさせてくれ」
「そうしましょう」
 
 散歩ぐらいでは考えはまとまらなかったようだ。
 ここは一旦シェイディンハルへと戻って、出直してくるとしますか。
 
 
 ………
 ……
 …
 
 
 その夜のこと――
 
 ………
  

 
 ……
 

 
 …
 

「ちょっとあなた誰よ!」
「ちっ、気づかれたか……」
 

「なっ、何よいきなり!」
「ん? どうした?」
 
 なんか傍でバタバタしているなと思ったら、何者かが緑娘に襲い掛かってきていた。
 緑娘も、めずらしく大鎌を召喚して臨戦態勢だ。
 

 謎の侵入者の一撃をかわすと、そのまま大鎌を叩きつける。
 魔力の鎌、侵入者もこれではひとたまりも無いだろう。
 

「誰だこいつは? 格好からしてブラックウッド商会の残党か?」
「あたしの寝込みを襲おう何て、百年早いのよ」
 
 無防備な就寝中、武器――緑娘にとってはニードルヒールも脱いでいて戦えないと思ったら大間違いだった。
 如何なるときも、魔力の鎌を召喚することで、すぐに敵に対応できるらしい。さすがだね。
 俺も召喚武器、もっと勉強しておこう。
 しかしブラックウッド商会か、壊滅させられたことを根に持っていて、今更復讐に現れるとはな……
 
 
 ………
 ……
 …
 
 
 翌朝、再び町外れの小屋へと向かった。
 昨夜の出来事は何だろうか?
 モルヴィリアンの件と何か関係があるのだろうか?
 何者かが、クヴァッチの後継者としてアリナーが戻ってきては困るということで、我々の邪魔をしに来たのだろうか?
 

 モルヴィリアンは、墓石の前に立ち尽くしていた。
 アドリアの墓だろうな。宙に浮いているように見えるのが気になるが……
 
「おはようございました、モルヴィリアン殿」
「ああおはよう。アドリアを埋葬したところだ」
「それはなんまいだー。そんなところを申し訳ないが、一晩しっかりと考えましたか?」
「そうなんだ、昨晩、これまで見たことも無い夢を見た」
「村の葬式だけど、長生きした葬式はめでたい、お疲れ様とか言って村人全員でお祭り騒ぎの夢ですか?」
「いや、違う。そこはクヴァッチの光景が広がっていた。城壁、庭園、大きな城。そして私の父オルメリウス」
「そう、オルメリウス・ゴールドワイン卿こそ、クヴァッチの領主なのだよ」
「どうやら君が正しかったようだ。記憶を取り戻す手伝いをしてくれて感謝する。だが私は伯爵に相応しい人物だとは思えない」
「大丈夫ですよ。ブラヴィルのタレンティウス伯爵などスクゥーマ中毒の息子を抱えた無能伯爵だし、この近くのシェイディンハルだって、フラーの父親が伯爵ですよ。クヴァッチの伯爵はあなたの他に誰もいません! フラー!」
「そんなのと一緒にしないでくれ。そんなのなら彼らは私無しでも十分にうまくやっているように思えるじゃないか。やっぱり夢は夢だ、放っておいてくれ」
「――っとと」
 
 失敗したな。
 言われて見たら、無能と比較されても嬉しくなるわけがない。
 スキングラードの吸血鬼と比較してやればよかったかな?
 それともアンヴィルの元大泥棒と比較してやればよかったかな?
 
 ぬ――、こうしてみるとまともな領主って少なくないか? 大丈夫か帝国。
 
 それでも、どうやらモルヴィリアンは間違いなく伯爵の息子であるアリナーのようだ。
 もっと説得させるなにかキーアイテムでも探してこなければならないかな。
 
「ところでみ~――ちゃん」
「誰よみぃちゃんって」
「歩き始めたみぃちゃんが、赤い鼻緒のじょじょ履いて、おんもへ出たいと待っているんだよ」
「それが何の関係があるのよ」
「ところでソニア」
「仕切りなおしたでしょう?」
「彼をクヴァッチの後継者として納得させるものがあるとしたら、何だと思う?」
「強引に話を進めるわね。そうね、クヴァッチ絡みの装飾品とかあるのじゃないかしら? 剣なり盾なりアクセサリーなり」
「なるほどね、クヴァッチならKか。しかしKはJより後になるのが癪だから、Cにされたらどうする? 例えばKvatchじゃなくてCvatchみたいに」
「なにそのくだらないプライド、馬鹿みたいだし気持ち悪い! そんなんならAvatchにすればいいじゃないのよ」
「アヴァッチか、なんかアパッチみたいになったな。アパッチと言えば、なぜジェロニモはアパッチと紹介されたのか?」
「知らないわよ! ゆでだからでしょ!」
「その回答も意味不明だな……(。-`ω´-)」
 
 さてと茶番劇は置いといて、モルヴィリアンがクヴァッチに縁のある物を持っているか。
 俺がもらったクヴァッチの鎧は、リリィさんに緊急処置で着せたけど、そのままどこへ行ったのだろうか。
 とりあえず小屋の中に何か残っていないか調べてみよう。
 

 小屋の中は、月影団の死体などでかき回されていたが、ベッド脇に置いてあった指輪だけは無事にそのまま残っていた。
 この指輪の内側には、”K”の刻印が刻まれている。クヴァッチと関連がありそうだね。
 

「モルヴィリアン殿!」
「君も随分と頑固だな。だが私の心が変わることはないぞ」
「この指輪を見てもですか? これはあなたの指輪でしょう?」
「こ、これは……。確かに私のものだ。この指輪に刻まれた”K”というのは、クヴァッチのことなのだろうか……」
「それ以外のどこですか? カンザスシティとでも言うのですか? ♪バイバーイ、バイバーイ、バイバーイ」
「そのフレーズはカンザスシティではなくて、メドレーで繋がっているヘイヘイヘイヘイの方だぞ」
「妙な物に詳しいな。それで、クヴァッチに行ってくれますか?」
「そうだな、本当の所を言えば、私は自分が誰なのか理解していたのかもしれない。だがそれを認めたくなかったんだ。知ってのとおり、私は自然が好きなんだ」
「クヴァッチにも庭園を作ればいいじゃないですか。有名な庭師のゴドラスも居ますよ。それに、クヴァッチの人々は、リーダーを必要としているんだ」
「分かっている、君の言うとおりにしよう。私は彼らを力の限り、導いていこうとしなければならないのだと悟ったよ」
 

 そう言い残すと、モルヴィリアン――いや、アリナーは、クヴァッチへと旅立っていった。
 これで、クヴァッチの後継者問題は、解決した――のかな?
 一応クヴァッチへ言って確認してみよう。
 
 
 ………
 ……
 …
 
 
「マティウス隊長! アリナーは戻ってきましたか?」
「おお親愛なる友よ。今し方伯爵のご子息が戻ってきたんだ。よくやってくれた、君には感謝し切れないよ」
「それはよかった。お互いに伯爵にならずに済んだものだ」
「んだんだ。それはそうと、アリナー殿が英雄殿に会いたいと言っていたぞ」
「ん、会ってみよう」
 
 クヴァッチの町でアリナーを探してうろうろ。
 めずらそうに町を見物していたアリナーを発見するのは、さほど難しくは無かった。
 
「アリナー殿、クヴァッチはよろしく頼みましたよ」
「うむ、私に任せてくれ。それよりも、だ!」
「なんでしょう?」
 
 
 
 


 
 …………(。-`ω´-)
 
 
 俺、帝都のアリーナで誰かと八百長試合やって、わざと敗れて引退しようかなぁ……(。-`ω´-)
 
 
 
 
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