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散りゆく花 ~庭師を探せ~

 
「ういいいぃぃぃっす、どうもイグナーです!」
「誰や!」
 

 ミーシャ動物園――、じゃなくて、大学裏の水辺でのんびりしていると、突然現れたのはイグナー。
 彼は、クヴァッチからやってくる伝令だ。
 
「友よ、プロキスから新しいメッセージを受け取ってきた。たぶん別の用件だ。詳しくは手紙を見てくれ」
「ああ、クヴァッチの復興ね。そんな仕事もあったな」
「あんたのおかげで、クヴァッチは目覚しい早さで復旧しているぞ。じゃあまたのぉーい、やっ!」
「伝令も大変だな、と」
 
 プロキスといえば、クヴァッチの設計責任者である。
 さて、今回起きた問題とは何か?
 

 あて先が「友よ」になっとる。あの伝令、中身を読んだな?
 クヴァッチの英雄という呼称を遠慮したからこうなったのだろう。アークメイジでいいのにね。
 
「それで、どうするのかしら?」
「決まっているだろう? 困っている人は助けてあげなくちゃ!」
「くすっ、相変わらずのお人よしさん。そんなところが、好きよ」
「アンヴィルへ行くぞ!」
 
 そんなわけで、庭師を探しにアンヴイルへと向かった。
 手紙では、「若木邸」に天才庭師であるゴドラスが住んでいるらしい。
 既に引退した身だが、再建にはどうしても彼の力が必要だと言う。
 説得の類か。それこそ俺じゃなくても他にできそうな人居ると思うけどね。
 
 
 ………
 ……
 …
 
 
 アンヴィルへ行く前に、途中でクヴァッチに立ち寄った。
 イグナーの話では、目覚しい早さで復旧しているらしい。
 どれどれ?
 

 おお、教会が直りつつある。
 キャンプが取り除かれて、普通の家が並んでいるね。
 

 町の南東部は、家を建設予定って感じになっていたりする。
 スキングラードで得た働き手、アンヴィルから送られてくる資材。そして責任者のプロキス。
 これらが合わさって、復興は順調に進んでいるみたいだ。
 

 マティウス隊長のキャンプがあった場所は、完成された大きな建物と化していた。
 クヴァッチの住民は、ひとまずは最初に完成したこの建物に住んでいるようだった。
 
 ん、しっかりやっているじゃないか。
 
 
 ………
 ……
 …
 
 
 そしてアンヴィルの郊外へ。
 

 城の北東部に、一軒だけ建っている家。どうやらここが、若木邸のようだ。
 城壁内に入りきれない家がでるのは、アンヴィルが限界まで発展したということだね。
 

 家の裏手は、花が並べられた並木道――並花道?
 確かにここには庭師が住んでいるのだろう。道に花を並べるとか、俺には思いつかない発想だ。
 
 

「こんにちは、ゴドラスさんですか?」
「そうだが、いったい何の用だ?」
「クヴァッチの再建計画に、あなたが必要なのです」
「ああ、その話なら聞いたよ。だが私ではあなたたちの助けにはなれるとは思えない」
「なぜです?」
「あれは八年前――」
 
 ゴドラスの話では、八年前に彼の最愛の人ベルウェンが死んだのだと言う。
 昔の事であまり覚えてはいないのだが、サンダスに灯台から落ちたということらしい。
 サンダス? サンダース? サインはV? なんだそりゃ?
 それが原因で庭園を作ることができなくなり、庭師を引退してしまったらしい。
 この家の庭は十分美しかった、と思うぞ(自信が無い)
 
 しかし、どうやらこの庭師が抱えている過去のトラウマを解消してあげないと、無理矢理クヴァッチに連れて行っても役に立たないようだ。
 キーワードは、妻のベルウェン、灯台、サンダス、転落死、である。
 サンダスがわからん。他の人に聞くしかないか。
 

「というわけで、キャラヒルさんっ」
「おやアークメイジ、久しぶりですね」
「ベルウェンの死とか、サンダスについて知りませんか?」
「サンダスですか? 日曜日のことですね。アンヴィルの灯台では、サンダスの夜だけに現れる幽霊がいるらしいです。ひょっとしてそれがベルウェンかも?」
「ああ、曜日の呼び方か。国によって違いますからね。ゾンタークとかディマンシュとか」
 
 なるほど、この国では日曜日の事をサンダスと言うのか。日、陽、太陽だけに、サンですか。サン兄ぃ! 誰や!
 そして灯台に幽霊、サンダスの夜……
 
「キャラヒルさん、確かサンダスの夜って今夜ですよねぇ?」
「そうですが、どうかしましたか?」
「いや、なんでもないよ」
 
 まさか曜日を知らなかったとは言えない。適当にカマかけてみて成功したからよかったものの……
 この国には休日とか祝日とか、曜日が機能している感じは全然無いからね。
 例えば今、日曜日の日中でも、キャラヒルさんはこの通りギルド支部で研究している。
 ちなみに月曜日はモーンダス、火曜日はティルダスだ。
 
 

 というわけで、アンヴィルの灯台である。
 だいぶん前も、緑娘と一緒に灯台を登ったことがあったっけな。
 幽霊が出るのは夜だと言うので、このまま夜まで待機。
 別に幽霊とか今更恐れないよ。ブラヴィルの郊外で、幽霊から宝の地図をもらったことがあるし、アンヴィルの船で、幽霊と戦ったことがある。
 アイレイドの遺跡とかに行けば、いくらでも幽霊が襲い掛かってくるというものだ。
 
 

 夜――
 灯台の裏に、それは居た。
 

「もしもし、ベルウェンさんですか?」
 
 幽霊に話しかける、我ながら妙なことをするものだ。
 しかし幽霊の方も、こちらな反応したようであった。
 
「こんにちは旅人さん。ベルウェンですが、何故このような場所へ?」
「えっと、ゴドラスは未だにあなたの事を嘆いています。なんとかしてあげてください」
「彼の事なら知っています。いつか彼が自分でここにやって来てくれることを願っていたのですが、やはりあの時起こった事は、彼にとってあまりにも辛すぎたのでしょう」
 
 幽霊は、やはりベルウェンだった。
 そして八年前の事故、ベルウェンの死はゴドラス自身に責任があったりするのだ。
 ベルウェンの話では、その日二人で灯台の頂上にいたと言う。その時、ゴドラスがベルウェンにぶつっかてしまって、丁度強い風が吹いたというのもあり、ベルウェンは落下してしまったのだ。
 ゴドラスはその事を嘆き、庭師として働けなくなったのだ。
 
「お願いします。ゴドラスに、私はもう十分にあなたを許していますと伝えてください。そしてこのペンダントを彼に渡してください。結婚式の日に、彼が買ってくれたものです。どうか、彼のことをお願いします」
 
 そういい残すと、ベルウィンの霊は消え去ってしまったのだ。
 
 …………(。-`ω´-)
 

「どうしたのかしら?」
「いや、もしも俺が君を失ったらな、と思ってね」
「あたしはそう簡単に死なないわよ」
「そうだといいけどね」
 
 俺はもしも緑娘を失ったら、いつもどおりに振舞えるだろうか?
 ゴドラスのように、何もかも捨てて篭ってしまうのではないだろうか?
 それとも、メファーラやシェオゴラスを受け入れて、復讐の鬼と化すのだろうか?
 おそらく緑娘を殺した奴らに復讐するとは思うが、それがゴドラスのように自分自身の責任なら?
 
 狂気に走らなければいいけどな……
 
 
 
 その後、再びゴドラスに会い、ベルウィンのことを伝えた。
 先ほど受け取ったペンダントを渡すと、ゴドラスはいろいろなことを思い出したようだ。
 
「ああ、愛しのベルウィンよ。どうか私を許しておくれ」
「ベルウィンに会ってきました。彼女は、あなたの事を責めていませんよ」
「本当か? ありがとう、本当にありがとう。友よ、君のことは忘れないよ」
「いいんだ。以前のように庭師として活躍することを、ベルウィンも願っていたさ」
「そうだ、クヴァッチの話があったな! 今ならは最高の作品を創り上げられる予感がする! すぐに取り掛かろう」
「もう夜ですよ?」
 

「すぐにでも動きたい気分なんだ!」
「しょうがないなぁ、ゴドラスは」
 

 わかったよ。
 クヴァッチまで護衛してやるよ。
 これにて、今回のプロキスからの依頼も無事完結。
 建物なら豆腐ハウスぐらい作れると思うが、ガーデニングはよくわからん。
 ゴドラスにもしっかりと働いてもらうとしようか。
 
 
 

 我が友、我が愛、我が人生、ベルウェン此処に眠る。貴方は、決して忘れられる事がないだろう。
 
 
 
 
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