home > 投稿 > > ブローク・バック発掘社 ~投資家になろう~
ブローク・バック発掘社 ~投資家になろう~
- 公開日:2020年5月8日
帝国臣民に頼られている俺、存在意義を問われている衛兵。
神殿に身を隠すマーティン、その存在を突き止めて消そうとする深遠の暁。
以上、現在の状況を軽くまとめたものだ。
再び魔術師大学に帰還し、リリィが新しく作り上げた研究所に向かう。
その名は、オゥム・クォート・オゥム。宗教団体ちゃうで、研究所やで。
すると、珍しい人がそこに居たりする。全然珍しくないけどね。
「先輩、ここで何をしているのですか?」
「ジ=スカールは、リリィに協力することにした」
「さてはリリィさんに惚れたな?」
「ラムリーザと一緒にするな。ジ=スカールはニラーシャ一筋だ」
「平地に波乱を起こすようなことを言うな!」
なんとジ=スカール先輩が、交際中のニラーシャと共に、リリィさんの研究所の一員に加わっていた。
ちなみにニラーシャは、エルスウェアのオークレストに住んでいた、元追いはぎの婚約者だ。それがいつの間にか、先輩と交際しているのだから驚きだ。
「あなたもリリィさんに惚れているの?!」
「惚れとらん……(。-`ω´-)」
ほら、先輩が余計なことを言うから緑娘が噛み付いてきた。
「あら、私はそんなに魅力無いのですか?」
「それはない……(。-`ω´-)」
否定すれば、リリィさんがからかってくる。
あっちが立てば、こっちが立たず……
………
……
…
めんどくさいので、一部省略して仕切りなおしな。
「ほらっ、カザ=ダンから妖刀サマラームを持ち帰りましたよ」
「常に燃え続ける魔剣ですね。魔力を常に放出しています」
「ちょっと扱いづらいので、ここに置いていくので預かっててね」
「わかりました。それはそうと、我々は金塊を集めることにしました。そこで、ブローク・バック発掘社へ向かって欲しいのですが」
「エネルギー源を集めるのですね。それで、その発掘社とやらは、何ですか?」
「これを読んでみてください」
そう言うと、リリィは一枚の書類を取り出してきた。
ふむふむ、金の採掘に投資して、その見返りに金を売ってもらえるということね。
「一口一万のようですが、我が研究所からは十万用意します。十口ほど株を買ってきてもらいたいのです」
「蕪もエネルギー源にするのですね。茹でますか? 漬物ですか?」
「ターニップではありませんストックです。もっと言えば、蕪ではなくて株です」
「んんん?」
「投資や株について詳しく知りたければ、後でみっちりとレクチャーしてあげますよ」
「いや、いいです」
ジ=スカール先輩がここに加わったのは、なんだかこれが目的のような気がしてきた。
たぶん金塊の味を覚えて、それがより多く入手できるグループに加わったのだろう。
蕪とかも意外と好きそうだし。
「先輩、金塊がおいしいのでしょう?」
「ジ=スカールは、チョコレート味のエネルギー源に興味は無い」
「妙に詳しいし、目が泳いでますよ」
「ラムリーザは早く投資のために出かけたらよいのだ」
「アークメイジを使い走りさせるな。先輩が行ってくださいよ」
「先輩を使い走りさせるな。こういうのは後輩の仕事だ」
「はいはい……(。-`ω´-)」
俺、シロディールの臣民に頼られているのだよな?
そして魔術師ギルド最高峰の、アークメイジだよな?
なんでこんなに良い様に使い走りさせられるんだ?
結局全ての物事は、俺頼みってことですか?
後輩の仕事にするのなら、ニラーシャの方が俺よりもっと後輩じゃないのかねぇ?
ちなみにそのブローク・バック発掘社とやらは、ゴールドコーストの中央部西方に位置するようだ。
コロールの西外れまで行って、そこから南西へ向かうコースが楽かな?
というわけで、街道を北西へ向かい、コロールの外れまでやってきた。
ここからは、ゴールドコーストの荒野を突っ切るのだ。
そういえば、以前アリーレさんを加えた三人で通ったコースに似ているね。
あの時は、太陽系儀の部品集めでもやってたっけな。
そして、ゴールドコーストにもしっかりとオブリビオン・ゲートが開いていたりする。
これは囮だ、グレート・ゲートではない。だから無視してもいいはず。
しかし増えすぎると、それはそれで問題な気もするので、こんな辺境なら放置してもいいけど街道傍に出現しているものについては、閉じておくのがよいかもしれないけどね。
そして、噂のブローク・バック発掘社に到着。
見張りが一人いるだけで、ほとんど人気が無いのが気になるけど、ひとまず店っぽい場所に入ってみるか。
「これはこれはお客様! さあ、すぐに参加しよう! ブローク・バック発掘社の投資家となり、金鉱を掘り当てよう。多くの株を買えば、ここブローク・バックで我々が金を豊富に掘り当てるチャンスが増える! 投資は経済の繁栄に重要。あなたが弊社の株を購入すれば、それが金鉱の探索資金となり、見返りにあなたは我々のオフィスで金を購入できる。これぞ取り引きだ!」
「熱弁ご苦労。でもチラシの文章をそのまま読んでいるだけだよね?(。-`ω´-)」
「さあ、すぐに参加しよう! ブローク・バック発掘社の投資家となり――」
「わかったから! 10株買います!」
「ありがとうございます!」
こいつはアルバイト学生だな。
徹底した社員教育が行き届いていて、マニュアルにのっとり同じセリフしか言えない奴だ。
そして手に入れたものは、ただの紙切れだったりする。
株……、一つ一万もするのに、その結果が一枚の紙切れとはな……
十万も出して、十枚の紙切れ……。俺にはわからん世界だ……
ちなみにダイヤモンドは、上質の物で100Gだったりする。そしてこの株は一枚でダイヤの十倍である10000Gだ。
さらに言えば金塊は一個25G、つまり元を取るのに株一枚分で四百個の金塊。十枚だと四千個だ。
わからんなぁ~
特に問題が起きているわけでもないが、鉱山も見ておくか。
投資家として、働いている場所を確認しておくのも任務のうち、なのかどうかは知らんけどね。
鉱山の奥では、金の鉱脈にツルハシを打ち続けている鉱夫が居ましたとさ。
つまみ食いはダメだぞ、とだけ声かけしておくか。
あとは、このブローク・バック発掘社の近くに自殺滝があるので、久しぶりに観光していきましたとさ。
「はい、十株買ってきましたよ」
「ご苦労様です。これで金塊の在庫に困ることは無いでしょう」
「ジ=スカール先輩は食いしんぼだから、金塊を無駄に食べられないよう気をつけてくださいね」
以上、任務おしまい。
Sponsored Links
前の話へ/目次に戻る/次の話へ