home > 投稿 > > 密偵 後編 ~深遠の暁教の作戦~

密偵 後編 ~深遠の暁教の作戦~

 
 ザルクセスの神秘の解読状況を確認するためにクラウドルーラー神殿へと向かった所、神殿では不審者のスパイ問題で持ちきりであった。
 神殿周囲をうろつく不審者に接触したところ、その者が深遠の暁教団の一員だったことがわかり、始末したところだ。
 ジョフリーの話では、スパイは一人ではないかもしれないということで、引き続き今度はブルーマの町で、スパイの拠点を探すこととなった。
 
 ブルーマの町と言えば、ジ=スカール先輩発祥の地――じゃなくて、この国に迷い込んだ俺が、最初に立ち寄った町であった。
 魔術師ギルドの支部は、その後に発生した死霊術師マニマルコとの戦いで壊滅してしまったが、現在は新しい支部長ジュラーエルの元、再建されて活動再開している。
 
 さて、そのスパイ探しだが、ジョフリーの話では衛兵隊長のバードを頼ればよいとのことだった。
 やはり衛兵は、やくに立つのか立たないのかよくわからない。
 限定的にみたら役に立つが、平時は居ても居なくても良い存在なのかもね。
 

「こんにちは、バードマンさん」
「違う。衛兵隊長バードだ」
「一度聞いてみたかったのですが、あなたの作り上げた集団は、なぜ二号にチンパンジーを起用しましたか? 人材不足というのは無しですよ、三号はまた人間なのですから」
「そんな人事はやったことがない」
「まあいいや。スパイについて教えてください」
「ブレイズの言っていた話だな。ジャールが南部旅行から帰ってきた以外は、特に無しだ」
「ジャールって誰ですか?」
「クラウドルーラー神殿周囲をうろついていた不審者だ」
「ああ、あのおばさん。深遠の暁教団から送り込まれた工作員だったみたいですよ」
「あの女がスパイだっただと?! 誰も信じられないとはこのことだな」
「精々神でも信じているんだな」
「よし。ジャールの家を捜索する権限を与えよう。部下にも邪魔しないよう伝えておく」
 
 例の変態不審者は、ジャールという者だった。
 そして、そいつの家がブルーマにあると言うのだ。
 本当に、深遠の暁は市民に成りすましているのだな、と。
 
 

 巡回中の衛兵に尋ねながら、ジャールの家へと向かう。
 普通に考えたら、ここがスパイの拠点になっていると考えるべきだな。
 こっそり行くか、強盗で行くか――
 

「ちわーっす、受信料の集金に来ました!」
 
 敵がいっぱい居たら、間違えましたと立ち去ろう。
 ――と思ったわけだが、ジャールの家には誰も居なかったりする。
 そりゃそうか、ジャールはすでに退治した後だからね。
 つまりこの家は、誰にも迷惑をかけない盗みができる家となったわけだ。盗賊ギルドの仕事は、もうせんけどね。
 
 誰も居ないのは別に構わないが、ここがスパイの拠点であるという証拠を掴まなければならない。
 部屋を調べると、地下室の入り口が一つ。
 ジャールの持っていた、地下室の鍵で開くかな?
 

 地下には書斎のようなものがあり、そこには深遠の暁経典が置いてあった。
 これでここが拠点であることはわかったわけだが、気になったのは一緒に置いてあった命令書だ。
 ジャールへの命令書と書かれているその手紙の内容は――
 
 一つ、サヴェーリという者と共に、最重要任務が与えられた。
 二つ、クラウドルーラー神殿に潜伏中であるセプティムの後継者を破壊せよとのこと。
 三つ、神殿の調査が済み次第、ブルーマ近郊にオブリビオン・ゲートを開く。
 四つ、その際にまず三つのゲートを開くが、それは囮。本体は、その後に開く大いなる門、グレート・ゲートであるとのこと。
 五つ、グレート・ゲートが開けば、ブルーマ陥落は確実とのこと。
 六つ、ブルーマが陥落すれば、クラウドルーラー神殿の陥落は時間の問題であろう。
 七つ、マーティンをクヴァッチから救い出したという、帝国のアークメイジに関する情報も期待するとのこと。ただし、アークメイジと直接対決の危険を冒すな、奴を甘く見てはならないとのこと。
 八つ、暁は近い。
 
 ――以上。
 
 ルマ・キャモランって奴が書いたものらしいが、俺の事も警戒しているな。賢い奴らだ。
 しかしジャールの奴は、俺に直接挑んできたぞ。奇襲したらワンチャンあると思ったのかな?
 反撃したのは、緑娘だけどね。
 
 以上のことが判明したので、再び神殿に戻ってジョフリーに報告する。
 

「スパイの情報は掴んだか?」
「スパイの名前はジャール。そしてこの命令書を発見しました」
「こ、これは……。深遠の暁教団は、既にマーティンの居場所を突き止めていたとは?」
「ディープ・スロート、内通者が居るのではないですか?」
「むむむ、同志を疑いたくはないが……。それよりも、もう一人スパイが居るみたいだ。もう一人の方も、排除してくれ」
 
 そういえば、サヴェーリという共犯者が居るみたいなことが、命令書に書かれていた。
 どこに居るのか?
 
 再びブルーマに戻って、捜査を続けることにした。
 しかしバード隊長も、ジャールのことは知っていても、共犯者のことまでは知らないようだった。
 隊長が知らないものだから、他の衛兵も知るわけが無く……
 
「どうするの? 捜査は行き詰まったんじゃないの?」
「全員に声かけしてみるか?」
「それよりも、もっといい方法があるわ」
「伺おう」
「スパイなんか放置しておくのよ」
「大胆たつ強引な作戦だな。しかしそれだと、神殿やマーティンの身が危なくないか?」
「深遠の暁の狂信者に、その作戦を成功寸前までやらせるのよ。そして最後の最後であなたが出てきて、狂信者共を打ち滅ぼすの。すると教団も王家も無くなり、漁夫の利であなたが皇帝になるわ」
「やっぱりそう来るか……(。-`ω´-)」
 
 ブレイズと教団の間で中立的な立場となって、ブレイズが優勢になれば教団に、教団が優勢になればブレイズに肩入れして、両者を疲弊させて共倒れを狙う。
 戦争などではありえるかもしれない物だが、そこまでやる価値があるのかどうか。
 とりあえず俺は、マーティンが聡明な方なら皇帝になっても良いと思っているのだけどね。
 
「というわけで物乞い!」
「はいっ、何でしょうか?!」
 

「5Gやろう。深遠の暁について、知っていることを述べてみよ」
「ありがとうございます。そうですね、先日ジャールの家から誰かが顔を出していたっけな」
「それ、ジャールだろ? 俺が知りたいのは、サヴェーリって奴のことだ」
「はて、サヴェーリ? 私はジャールの顔なら知っている。ジャールの家から顔を出したのはジャールではなかったぞ」
「そっか、あの家が拠点っぽいからな」
「それでは失敬するよ、しゃどうはいちゅー」
「――しまった!」
 
 ちょっと前の癖で、物乞いに頼ってしまった……(。-`ω´-)
 
 まあいいか。反盗賊ギルドだが、用物乞いの情報と言うことで。
 盗賊ギルドは認めないが、うまく交流してせいぜい利用して利益を得ようではないか。
 
 
 というわけで、再びジャールの家である。
 地下室から、別の場所へと通じている扉があったのだが、先ほどは報告を優先して後回しにしていたのだ。
 

 そこは、地下洞窟になっていた。
 そして、誰か一人居る。
 
「お前がサヴェーリか?」
「クヴァッチの英雄とやら! マスターの目からは逃れられんぞ!」
「アークメイジと直接対決の危険を冒すのは止められているんとちゃーう?」
「お前を甘く見る!」
 

 あほだろう。
 
 まぁとある方が述べたらしいが、 敵にやられない秘訣は世の中を甘く見ること、というのがあるからあながち間違いではない。
 しかし残念ながら、その言葉はこうして否定されたのであった。
 ああそうか待てよ。俺はアークメイジであって、世の中ではない。アークメイジを甘く見てはいけないのだ。
 俺も世の中を甘く見て、ゲートはギリギリまで放置しておこう。
 
 今回新しく入った情報だが、デイゴンの本体はグレート・ゲートというものからやって来るらしい。
 各地に沸いているゲートは、囮の一種なのだろう。
 クヴァッチにもグレート・ゲートが開いたから壊滅状態にされてしまったのだろうな。
 
 
 

「というわけでジョフリーさん、二人目のスパイも退治しましたよ」
「素晴らしい、私の期待通りだ。神々は考えもなしに、君を自らの代理人として選んだのではないのだろうな」
「シェオゴラスの代理です――、というのは嘘です。トゥルットゥー!」
「しかし、スパイはブルーマだけに潜んでいるとは思えない。おそらく各町にも潜んでいると思う」
「何かの機会に、スパイあぶり出し作戦でもやっておきましょう」
 
 以上で、不審者スパイ撃滅作戦はおしまい。
 

「本の解読は終わりましたか?」
「もう少し情報が必要だ。あと少し、あと少しで掴めそうなのだが……」
「まぁ慌てずに解読してくだされ」
 
 緑娘は、じーっとマーティンを見つめている。
 そんなに彼の存在が邪魔かねぇ?
 邪魔なのだろうな……(。-`ω´-)
 
 
 
 
 

「グランドマスター。例のクヴァッチの英雄殿の傍に居る連れの女についてですが、やはり彼女は――」
 
 
 
 
Sponsored Links



 
 
 前の話へ目次に戻る次の話へ

return to page top

©発行年-2020 らむのゲーム日記