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暁の道 その一 ~邪教書を持つ者~

 
 ブレイズのグランドマスタージョフリーの依頼で、奪われた王者のアミュレットを奪還する作戦が始まった。
 ブルーマ近郊に発生していたオブリビオン・ゲートを閉じたりしていたら夜遅くなったので、一晩ブルーマの自宅で過ごしてから帝都に向かうことにした。
 

「ねぇ、本当に王者のアミュレットが必要だと思っているの?」
「ジョフリーもマーティンも必要としているだろ。俺は彼らのために働いてあげるつもりだよ」
「ゲートを閉じてしまう必要はあるのかしら? あなたがそのメエルーンズ・デイゴンってデイドラを退治してしまえばいいんじゃないの?」
「そんなことが可能だと思うのか?」
「あたしとあなた、二人で力を合わせれば可能よ。そしたらその実績を持って、あなたが皇帝として君臨するのよ」
「まだ俺に皇帝になって欲しいんだね」
「権力は一代限りのもので、それは譲られるべきものではなくて、奪われるべきものなのよ」
「こらこら……」
 
 相変わらず緑娘は俺を焚きつける。
 この誘惑に、どこまで抵抗できるだろうか。
 

「簒奪が世襲より悪いことは無いわ」
「俺はアークメイジの身分で十分だって」
「そんなのもったいないと思うけどなぁ……」
 
~~~
 クラウドルーカー神殿にて――
 
「グランドマスター、どうされましょうか?」
「私はクヴァッチの英雄を疑いたくない。だが万が一にも供えねばならん。そなたは監視を続けよ」
「了解しました」
~~~
 
 
 ………
 ……
 …
 
 
 そんなわけで、帝都エルフガーデン地区である。
 

 以前、シンドリに会ったルーセル・ブロードの下宿屋で、今度はバウルスと会うことになっている。
 バウルスってどんな顔だったっけ? いまいち覚えていないのだよなぁ……
 
 店の中に居たのは、店主と客が二名。
 離れた位置で本を読んでいる人は普通の人って感じだけど、カウンター席で酒を飲んでいる者は、カタナと呼ばれる長い剣を持っていた。
 あの剣に見覚えがあるぞ、確かアカヴィリの刀剣だっけ?
 
「こんにちは、バウルスさんでしたっけ? 俺はブレイズの新入りになった――」
「あんたがグレイ・プリンスと戦うのを見たぞ。オークが倒されると思った者など居なかったのに、あんたはそれを皆に見せ付けてやったんだ! はっはっはっ!」
「いや、それ前も同じこと言ったから……(。-`ω´-)」
「はっはっはっ、アリーナの武勇伝を聞かせてくれ! とにかくここに掛けるんだ! はっはのはっ!」
「なんだよもー」
 

 バウルスは、俺の武勇伝を聞きたがっている。情報としては、かなり古いのだがな……
 なんだか話が違うが、そんなに聞きたいのなら聞かせてやろう。
 
「チャンピオンになった後は、ショーバトルをしているんだ。ベアー・ザ・ジャイアント戦は見てくれたか?」
「あれか! やったらとでかい熊を良く見つけたものだな! さて、いいか?」
「他は何と戦ったっけ、ブラック・ミノタウロスだ。あれはただミノタウロスを黒くペインティングしただけだけど、漆黒の悪魔って感じでいい感じだったでしょ?」
「――しばらくしたら、俺は席を外してここを離れる」
 
 ついさっきまで、チャンピオンチャンピオン言ってたバウルスは、突然声を潜めて俺の耳元でつぶやいてきた。
 なんだ? 何かから身を隠しているのか?
 
「俺の背後、店の隅に居るあの男が、俺をつけてくるはずだ。お前は奴を尾行しろ」
「奴がアミュレットを持っているのですか?」
「シーッ! 今は話せない」
「わかったよ。見張るよ」
「よし、奴が尾行するまで待て。奴の行動を確認するのだ」
 

 そう言い残すと、バウルスは席を立って店の奥へと進んでいった。
 しかし本を読んでいる男は、特に何も反応を示さない。
 
 まさか――?!
 
 俺は、とある人物の顔が脳裏に浮かんだ。
 その者の名はグラアシア。人々に監視されているという妄想に取り付かれた男だ。
 バウルスもひょっとして、何も関係ない人に付き纏われているという妄想を抱いてしまったのか?
 そんなに皇帝陛下をお守りできなかったことを悔やんでいるのか、精神を病むほど……(。-`ω´-)
 

 しかしである。
 本を読んでいた男は、バウルスが部屋から出ると同時に立ち上がり、同じ場所へと向かっているではないか。
 妄想ではなく、本当につけられているというのか?
 
 俺は、彼が部屋から消えると、すぐに後を追っていった。
 

 どこへ向かっているのだろうか?
 バウルスを、人目につかないところで暗殺でもしてしまおうと考えているのだろうか?
 しかしこの件には慎重にならなければならない。パラノイアがどうしても脳裏に浮かんでな……
 

 そしたら本読み男、魔法を唱えたかと思えば、見覚えのある姿に豹変したではないか。
 皇帝を暗殺した集団だ、リリィさんが言うには深遠の暁という集団らしい。
 奴はバウルスに注目していて、こちらには気づいていない。
 隙ありだ!
 

 稲妻レッグラリアットとニードルヒールキックでのクロスボンバー!
 愛の共同作業だ(違)
 
「よくやった! 死体を調べてくれ。俺は周囲を見張る。仲間が近くに居るかもしれないからな」
「死体弄りを俺に任せるのな」
 

 それにしても暗殺者と言うか、深遠の暁、皇帝だけでなくその親衛隊にまで手を出し始めたんだな。
 この分だと、こいつらはそのうち魔術師ギルドや戦士ギルドにも手を伸ばしてきそうだな。
 オカトーの発布は、敵の耳にも入っているはずだ。そうなれば、この脅威に立ち向かっている者全てが暗殺対象になるはずだ。
 
 さて、この本読み男だが、持っていた物は先ほど読んでいた本だけ。
 神話の暁教解説書第一巻だそうな。深遠の暁か? 神話の暁か? どっちだ?
 えっと、著者はマンカー・キャモラン? 誰だ?
 ザルクセスの神秘の書? ちんぷんかんぷんだな。
 宗教関係の本だとはわかるが、ああそうか、リリィさんはメエルーンズ・デイゴンを崇拝する宗教団体があるって言ってたな。
 
「聖書みたいなのを見つけましたよ。いや、聖書じゃないな、邪教書かな?」
「よくやった。遅くなったが、再会できて嬉しいよ。さっきは妙な事言って悪かったな」
「待て、アリーナのグランドチャンピオンは妙なことなのか?」
「そっちは本気だ。尾行とかそっちな」
「ならばよし。それでこれでわかったことは?」
「皇帝を暗殺した集団は、深遠の暁教団と称する、あるデイドラを崇める教団だった」
「ん、知ってる」
 
 リリィさんの言っていたことは本当だったな。
 やっぱり彼女は物知りで有能だ。あんな僻地に住ませているのはもったいないな。
 
「見たところ、メエルーンズ・デイゴンを信仰しているようだな」
「うん、知ってた」
「俺は帝都にいる教団の工作員を追っていたが、どうやら感づかれたようだ」
「シャドウ・ハイド・ユー、影と共にあれ。ぐぬぬ……(#^ω^)ピキピキ」
 
 隠密が下手なバウラスに忠告してやろうと思ったが、嫌なこと思い出してしまったぜ。
 まあよい、グレイフォックスはもう居ないのだからな。
 指導者を失った悪魔の肉体は宇宙を彷徨うだけだ……(。-`ω´-)
 
 ここで俺は、バウルスにこれまでの顛末を語ってあげた。
 まずは、王者のアミュレットが盗まれたこと。彼はジョフリーのもとから奪われたことを驚き、事態が思ったよりも深刻だと察した。
 そして皇帝の後継者を見つけたこと。これにはタロスに感謝して、マーティン・セプティムを必ず帝位につけてやると誓ったようだ。
 だからタロスは――ってなんでもねーよ!
 マーティンを帝位と聞いて、緑娘は一瞬不満そうな顔をする。いい加減諦めろよ。
 
「で、この本を手に入れて、次は何を?」
「そうだな。魔術師大学に、とある学者がいる」
「シンドリさんですか?」
「いや、ター=ミーナ。デイドラ信仰を研究している第一人者と目されている」
「ああ、大学書庫の管理人だな」
 
 ター=ミーナとは、アルゴニアンの女性。
 以前、死霊術師と対決していた時、死霊術師の月を探したことがある。その時にお世話になったな。
 今回もまた彼女の元を訪れ、先ほど手に入れた本を解説してもらえと言うのだ。
 その一方でバウルスは、引き続き深遠の暁教団の組織網を追跡することになった。
 
 というわけで、今度は魔術師大学へ向かうことになったのである。
 
 
「ああそうだ、ジョフリーからの伝言。陛下の死で、己を責めてはならない。そして俺をジョフリーの所へよこしたのは、懸命な判断であった、と」
「忝い……」
 
 
 
 
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