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皇帝、還らず

 
 その時、一つの炎が帝国の地下で斬られて消えた。
 その時、一つの時代が終わりを告げた。
 
 ――って、何いきなりパクってんねん(。-`ω´-)
 事実ではあるがな……
 
 

 城の地下牢から続いていた通路は、ゴブリンの巣へと通じていた。
 その巣から先に進むと、出口ではなく、元の石造りが目立つアイレイドの遺跡のような場所に通じていた。
 

 通路を覗き込むと、遠くから人の声が聞こえたりした。
 
「守りやすい場所を見つけて、救援が来るまで陛下をお守りするのだ」
「救援? こんなにも多くの刺客が攻めてきているというのに、救援が来るとは思えない。我々で陛下を脱出させるんだ」
 
 どうやら先ほどの、皇帝一行らしい。
 

 とりあえず合流して、一緒に脱出するとしよう。
 なにしろ俺は、悪いことなんかしてないはずなのだからな。
 グレイ・カウルを破壊したことで、その頭巾が被っていた罪が逆流してきていないかぎり……
 
「むっ、さっきの囚人だな?! 暗殺者の仲間かもしれないぞ!」
 
 護衛は俺の姿を確認すると、剣を抜いて向かってきた。
 

「待て、この男はアークメイジのラムリーザだ」
「そうだ、俺は帝国の臣民のようなものだ」
  
 うん、皇帝陛下ユリエルは、ちゃんと俺のことを知っているのだ。
 しかし――
 
「嘘をつくな。アークメイジはハンニバル・トラーベンではないのか? こんな若造ではないはずだ!」
「護衛、お前情報が古いぞ」
「いや、アークメイジはフラーテン・ドローサンだと聞いているぞ」
「こいつ異国民ですよ、陛下!」
「いや待てよ、アークメイジと言えばサボス・アレンという者のはずだ」
「アンジェラ・アルテナが就くクラスの一つでは?」
「それはない」
 
 だめだこの護衛たち、世情に乏しすぎる。
 レックス隊長からクインティリアス隊長に代わっているのは知っているくせに、アークメイジの代替わりは知らんのか。
 そもそもサボスとかアンジェラって誰のことだろうか?
 救いは皇帝陛下が、ちゃんと現アークメイジを認識していることだ。
 
「彼は我々を助けてくれるのだ。いや、助けねばならないのだ」
「なっ、なぜですか?!」
「アークメイジの居る魔術師ギルドは帝国のもの。ならばお前も陛下をお守りせねばならんのだ!」
「さっきまで俺の事、アークメイジと認めなかったくせに」
 
 いちいち護衛は俺と陛下の会話に口を挟んで邪魔をしてくる。
 しかし護衛の一人は、突然手をパンと叩き合わせて言ったものだ。
 
「思い出したぞ!」
「なんやねん……」
「あんたがグレイ・プリンスと戦うのを見たぞ。オークが倒されると思った者など居なかったのに、あんたはそれを皆に見せ付けてやったんだ! はっはっはっ!」
「…………(。-`ω´-)」
 
 

 とまぁそんなこんなで、俺は松明係として皇帝一行に同行することとなった。
 何故松明係だって?
 バウルスと名乗った護衛から、この松明を持って少しは役に立て、と言われたからだ。ちなみにこいつが、グレイ・プリンスとの戦いを見ていた奴な。
 彼ら護衛はブレイズという名前で、陛下の親衛隊なのだそうだ。彼らの使命は、今回のような事態から、陛下を救うことらしい。
 今回の事とは、暗殺者に狙われているということなのだけどね。
 それなら戦いは任せるとしますか、俺は囚人らしく大人しくな!
 
 道中、皇帝陛下と話しをする機会ができたので、少しばかり語り合ったものだ。
 護衛も俺がアークメイジだと認めてからは、陛下と話をしていても無礼者とは言わないようだ。
 
「彼らには私がそなたを信じる理由が分からないのだ。そなたを見るのが初めてだろうからな」
「アークメイジに就任してからも、篭っていたり他所の国へ行ったりで、あまり社交の場に出てこなかったですからね。仕方が無いですよ」
「ところでそなたは九大神を知っているな?」
「えっと、アカトシュ、アーケイ、アズラ、ノクターナル、マーラ、シェオゴラス、ディベラ、サングイン、タリスでしたっけ?」
「九大神とデイドラが混じっておる。それと、タリスではなくタロスな」
「タロスは英雄の名にふさわしいが、神ではない……(。-`ω´-)」
「何を言っておるのだ?」
「我々は人間に対するエルフの優位性を証明したいと思っている。長い年月をかけて少しずつな――って何でもありません! 脳がトリップしたみたいです! たぶん俺の前世は、エルフ至上主義の――」
 
 皇帝の話では、全ては九大神の見えざる御手によって導かれているのだという。
 そうなのだ。俺がボーダーウォッチで災害を起こしたのも、全てはシェオゴラスの見えざる御手によって導かれたものなのだ、トゥルットゥー!
 皇帝も生涯九大神に仕えてきて、天の運行から自分の進むべき道を決めてきたのだ。
 だから俺もサングインから進むべき道を――、ダメだ……
 
「そなたの顔には太陽の輝きが見える。アカトシュの栄光の光が、迫り来る闇を振り払ってくれるかもしれない」
「言葉の意味はわからんが、とにかく任せて頂きましょう」
「うむ、そなたが協力を誓ってくれれば、思い残すことは無い」
「そんな陛下、弱気にならないでください」
「私に勝機は無いだろう。だが十分に生きた、未練などない。私は運命を受け入れよう」
「彼らブレイズの護衛たちに、報いてあげてくださいよ」
 

「陛下はお前を信用しておられる。だが私は違う、邪魔はするなよ」
「ちゃんと松明係をこなしているじゃんよ」
 
 皇帝陛下とその護衛とで、俺に対する温度が違いすぎる。
 俺がグレイ・プリンスと戦うのを見たと言うバウルスはまだ好意的だが、未だにハンニバル・トラーベンがアークメイジだと思っているグレンロイという奴は俺を全く信用していないようだ。
 まぁ少しでも素性の知れない奴が居れば警戒するぐらいの気鋭が無いと、親衛隊など勤まらないと言うのだろう。
 

 しかし、進んだ先は門が閉じられていた。罠か?
 

 別の道を進んでみたが、そこも袋小路だったりする。
 
「行き止まりだ。どうしましょう、先輩?」
「分からない、一体どうすれば……」
 
 大丈夫か? この親衛隊。
 
 その時、背後から複数の足音が近づいてきた。
 どうやら暗殺者とやらが、我々を追い詰めてから襲い掛かってきたようだ。
 グレンロイは、通路を戻って暗殺者の集団に立ち向かってゆく。バウルスは陛下の傍で守りを固めているようだ。
 俺も参戦したほうが良かったかな?
 

 ――などと思った瞬間、突然皇帝の背後の壁が開き、そこから暗殺者が姿を現した。
 俺とバウルスが反応するよりも早く、暗殺者は皇帝に斬り付けてしまった。
 
「セプティム最後の後継者が、我らから逃れられると思ったのか?」
 

「遅い! 斬られる前に捕らえられんで何の為の親衛隊か!」
「……ブレイズの責任、俺の責任だ……、ブレイズが陛下をお守りすると誓っていたのに……」
「待て、バウルス、そなたの責任ではない……。アークメイジよ、手を出してくれ」
 
 皇帝はかろうじて息があったが、もう助からないのは誰の目にも明らかだった。
 そして、最後の力を振り絞って、俺に一つのアミュレットを手渡してきた。
 
「アークメイジよ、そなたは一人で破壊の君主に立ち向かわねばならない。奴らにこの王者のアミュレットを渡してはならぬ!」
「えっ、俺が? バウルスではなくて?」
「親衛隊ではないそなたに特別な任務を課す。このアミュレットをジョフリーの元へと届けるのだ。私には秘密にしていた息子が居る。その居場所を知るのはジョフリーだけなのだ」
 
 
 そして皇帝は、俺に全てを託して息を引き取ったのだった……
 
 
 
 
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©発行年-2020 らむのゲーム日記