リバーホールドまで ~砂嵐とか追い剥ぎとか~

 
 いやぁ、参ったな。
 エルスウェア中央の砂漠、何が凄いかって――
 

 砂嵐が凄すぎた。
 ほとんど前が見えないし、ものすごい勢いで砂が飛んでくる。
 ラクダに乗ってたら吹き飛ばされそうなので、そのラクダを風除けにして北だと思われる方角へ進むことにした。
 
「あなたがのんびりと指輪なんか探しているからこうなるのよ」
「わかったぞ!」
「なによ急に」
「あの炎の指輪は、炎の力で砂嵐を逸らすための魔法の道具だったんだ」
「それがわかったから何だっていうのよ」
「なんだろうねぇ……」
 

 所々に木が見え始めてきたので砂漠は過ぎたのだと思うが、それでも砂嵐は一向に収まらない。
 少し前まで青空だったのに、砂漠の天気は分からんね……
 

「ちょっとこの木の陰で休憩」
「胸の間に砂が入り込んで気持ち悪いわ」
「よし、俺が掻き出してやろう」
「どさくさにまぎれて触ろうとしているでしょ」
「知らんな……(。-`ω´-)」
「見てる人が居るからダメ」
 
 ちっ、ジ=スカール先輩が邪魔だったか。
 しかし何だこの砂嵐、なんかもやの中から戦闘機が現れそうな勢いだぜ。
 

 砂嵐の中、キラリと光るものがあったので行ってみると、そこはオアシスだったりする。
 先輩の話では、「動物達の水場」と呼ばれている場所らしいが、砂嵐が酷すぎてゾウが居るような気がする程度である。
 晴れた時に来てみたら、落ち着いた休憩場所になるのだろうなぁ……
 
「それで、いつまでこの状態が続くのよ」
「砂漠を出るまで……」
「いつになったら出られるのよ」
「砂漠から出るには、かなりの年月を必要とする。旅に旅をかさね、近所に住んでいるサルが笑った時、初めて出られるのじゃ……(。-`ω´-)」
「何それ意味わかんない!」

 とまぁ冗談は置いておいて、砂嵐の中を彷徨っていると、遠くに砦のような建物が見えたような気がしたのだ。
 

 そこには、よく似た砦もたくさんあるが、帝国軍の砦があった。
 
「ちょうどいいや、砂嵐が収まるまでここで休憩しよう」
「いきあたりばったりでしょ?」
「臨機応変に対処していると言ってくれ(。-`ω´-)」
 

 ここはシープレイス砦。
 リバーサイドとデューンの中間点辺りにある拠点のようだ。
 ということは、北へ向かっているつもりが道を逸れて北西へ向かったことになるのかな。
 
 では砂嵐が収まるまで待つとしよう。
 

 ………
 ……
 …
 

「どうだ見ろ、作戦通り砂嵐は収まったぞ」
「砦の中でゴロゴロしているだけで、あなた何もやってないじゃないのよ」
「ほら、帝都インペリアルシティが遠くに見えるぞ!」
 
 森を挟んで帝都が見えたりする。
 久しぶりに見る帝都だ、離れてから何日経ったかな?
 

 シープレイス砦からは、北東に向けて道が続いていた。
 この道に沿って進めばリバーホールドに到着するはずだ。
 正面に見える山まで、砂漠と森の境界線が、まるでものさしで計ったかのように線になっているぞ。
 

 その道を通っていると、正面から鎧を着込んだカジートが駆けて来るではないか。
 伝令か? 追い剥ぎか?
 

 追い剥ぎでした……(。-`ω´-)
 
「何が400Gだ! 追い剥ぎは100Gと相場が決まっているではないか!」
「嘘だろ? たったの400ぽっちなのに?!」
「何がぽっちだ、目に物を見せてやる!」
 
 別に400Gとか惜しくないけど、気分の問題だよ。
 物乞いが100Gとか要求してきたら、「何やお前は!」と言った態度になるだろ?
 物乞いには物乞いの、追い剥ぎには追い剥ぎの相場というものが、あるのである。
 

 こっちが攻撃態勢に入ったら、追い剥ぎの奴「違う、俺は……っ」とか言い出すが、違うなら50Gを要求するんだな。
 
 とまぁ俺が手を出すまでも無く、緑娘が魔術師ギルド謹製の魔剣でサクッとやっちゃいましたとさ。
 

 そしてこれが追い剥ぎ狩り、俺の本職である(割と嘘)
 
「なんかこいつ、手紙を持っているな。それにニラーシャの指輪って何だろう」
「韮社の指輪?」
「お粥に入れといてね」
 

 手紙は、奥さんか婚約者からのものだった。
 追い剥ぎですら結婚できるのに、ジ=スカール先輩はまだ独身なのだね。
 ニラーシャの指輪ということは、婚約指輪か何かなのだろう。
 
 手紙にあるハイウェイマンとは追い剥ぎのことである。
「いつも訃報でも届いたらどうしよう」とか書いてあるが、マジで訃報になってしまったな、これは。
 でもまあ追い剥ぎ狩りは合法だから、こっちは間違ったことをしていないよ。
 ハイリスク、ハイリターン、それが追い剥ぎなのだ。
 俺もいつの日か、俺よりも強い奴が現れて追い剥ぎされる日がくるはずなのだ。
 もっとも俺の方から追い剥ぎは仕掛けないけどね。大抵は向こうから襲い掛かってくるのだ。
 
「どうするのこれ?」
「やっつけたのは君だけどね」
「追い剥ぎを退治して何が悪いのよ」
「悪くないよ、よく返り討ちにしたと褒めてやる」
「うわぁっ、あたしらラムリーザに褒められたっ。ジ=スカールせんぱぁいっ、あたし褒められたよー」
「そんなに褒められたかったのか……(。-`ω´-)」
 
 さて、この顛末をニラーシャに話すかどうか。
 ほっといても良いような気がするけど、とりあえず先へ進もう。
 

 そして、ようやくリバーホールドに到着したのであった。
 長い旅だったぜ――
 
 
 
 




 
 
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Posted by ラムリーザ