失われた歴史 後編 ~吸血鬼と、どんくさい盗賊~
えーと、盗賊ギルドの依頼でタムリエル失われた歴史という貴重書と、それを探しに向かったが行方不明となったセラニスを探す任務を行っているところだ。
セラニスはスキングラードの牢屋に囚われていると聞いて、臭い飯を運んで牢屋へ入ることはできたが、そこにはラスジャーという者が一人居るだけでセラニスの姿は無かった。
ラスジャーの話では、セラニスは数日前に青い顔の女に連れて行かれたとのことだが、その際に激しく抵抗して血まみれになったらしい。
そして牢屋には血痕が残されていたので、俺はそれを辿り始めたというところだ。
燭台を動かしてみたところ、隠し扉のような感じになっていて、牢屋の奥にあった壁が開いて通路が現れた。
レヤウィンだけでなく、スキングラードにも秘密の通路があるようだ。
この国の権力者は、裏で何か妙なことをやるというのが決まりになっているのだろうか?
土壁だった通路は、もう一つの隠し扉を通ることで、どうやらスキングラードの場内に入ったようだ。
血痕はそのまま、地下の酒樽置き場まで続いている。
そこで血痕は途絶えていたが、ここにも血まみれの燭台があったりする。
この燭台も動かせるようになっているということは、どこかにまた隠し通路があるということだな。
う~ん、この仕掛けは面白いな。俺もこんな隠し部屋が欲しいものだ。
間違えた樽を開けてしまったら、周囲は酒の海になっちゃうけどね。
樽一杯の血にワインを入れても血だが、樽一杯のワインに血を入れたら――、なんか違うな。
酒樽の中にあった隠し通路を進んだ先には、誰か居るようだった。青い顔の女か?
「もしもーし、セラニスって人を探しているのですが、知りませんか?」
「キエーッ!」
なんだよ敵襲かよ!
青い顔の女はダークエルフかなとは思っていたけど、普通に襲い掛かってきたよ、何だよ!
――って、こいつ吸血鬼だった……(。-`ω´-)
これは仕方が無い、吸血鬼とはこういうものだ。ロヴィディカス卿も、問答無用で襲い掛かってきたからな。
理性を保っているハシルドア伯爵が特別なのだ。
そして俺は吸血鬼ハンターの一員である。
問答無用で、退治ーっ!
しかしハシルドアも吸血鬼だし、この城に居たこの青い顔の女も伯爵と何か関わりがあるのかな?
ひょっとして奥さん、伯爵夫人だとしたらやばいことにならないか?
そして、この広間の片隅には、一人倒れているものが居たりする。
セラニスかと思ったが、本は所持していないようだ。
「ちょいとちょいと、ラムリーザじゃないか、助けてくれ」
「ん? 誰だ?」
死体に気を取られていて気が付かなかったが、部屋の反対側は牢屋になっていて、そこにアルゴニアンが一人囚われていた。
しかしこいつは俺のことを知っているようだが、俺はわからん。何しろアルゴニアンの見た目は区別がつかんからな。
「お前どっかで会ったっけ?」
「俺だよ、アミューゼイだよ。レヤウィンで助けてくれた」
「またお前か、今度は何をやった?」
「魚を盗んだら、スキングラードの馬鹿衛兵どもに捕まったんだ」
「馬鹿はお前だ……(。-`ω´-)」
こいつはいつも捕まっているな、ここまでどんくさくて盗賊が勤まるのか?
最初の入団試験の時にも居たけど、絶対こいつ盗賊に向いていないだろう。
魚ぐらい自分で釣れ、それにお前はアルゴニアンだから泳いで捕まえられるのとちゃうか?
「あんたは二度も俺の命を救ってくれた。まさしく心の友だよ」
「普段はいじめてばかりいるくせに、映画になったら急に良い奴に変わる様な奴みたいなことを言うな」
「俺は盗賊ギルドに入ることにしたよ、もう牢屋はたくさんだ!」
「入団試験がんばれよ。で、セラニスについて知らないか?」
「セラニス? 俺の牢屋仲間だよ。あの青い顔の女に連れ去られるまでは一緒だった。奴は吸血鬼なんだよ、やられちまってそこに倒れている」
「彼は何か本について話してなかったか?」
「セラニスの本のことなら伝言を預かっている。でもここから逃がしてくれないと話さないぞ。城から出してくれ」
「しゃーないな」
そんなわけで、アミューゼイを城から脱出させる作戦が始まった。
こいつどんくさいからな、途中で見つかって俺まで捕まったとかそういう展開はやめてくれよ。
隠し通路は安全だけど、その先に衛兵が居るのが分かっているので城の中をこっそりと移動する作戦でいく。
しかし臭い飯を運んだのに姿が消えてしまったとなると、あの衛兵俺のこと怪しまないのだろうか? すんげー真面目な奴だったからな。
アミューゼイはどんくさい奴だが、幸い通路には衛兵が一人も居なかったので捕まることはなかった。
ここまで来たら、城の外まであとわずかだな。
しかし後で牢屋の見張り看守に会って、辻褄あわせぐらいしておく必要があるかな。
あと、臭い飯運びはこれからもずっとやらなくちゃならないのだろうか?
シャム・グロ=ヤラグから給料を受け取る前なら失踪しても――、まずいわなぁ……(。-`ω´-)
まあよい、衛兵にはグレイ・フォックスが逮捕された後に全て真相を語って、俺が秘密裏に苦労していたということを分かってもらえたらそれでよい。
「ありがとう、ここまできたら安心だよ」
「よし、タムリエル失われた歴史について知っていることを聞こうか」
「セラニスからの伝言だ、こほん。『ネラスタレルの家の裏にある井戸の近くの茂みの中を探せ』よし伝えたぞ」
「かなり具体的やな」
こうして本の在りからしき場所を聞き、アミューゼイとは別れてスキングラードの町へと向かっていった。
ん? 何をしているのだ?
「おい、何をしている? 怪しい奴め」
「あっ、ラムリーザ。町の中のこの区画、ドアまでちゃんと付いているのにあるのは木箱だけ。なんだか怪しくない?」
「たぶんその上に乗って歌ったりするリサイタル場所なんだよきっと」
「あたしの歌を聞く?」
「どんな歌?」
「♪ノートの片隅、いつもよりちょっと幸せな落書きに照れた私~」
「よし、本を探しに行くぞ」
「何よー、最後まで聞いてよ!」
とまぁ、普通にネラスタレルの家の裏にある井戸の近くの茂みの中にあったわけで、伝言に全く捻りはありませんでしたとさ。
グレイ・フォックスが所望してる本とやらは、こんな内容だった。
またエルダースクロールの話だな。以前どこかで聞いたのかは忘れたけど、どこだったっけ。
残念ながら、今の地点では俺には意味はわかりませんっ!
おしーまいっ
前の話へ/目次に戻る/次の話へ