失われた歴史 前編 ~血痕の秘密~

 
「タムリエル失われた歴史なる貴重書をグレイ・フォックスが求めている」
「左様でごじゃるか?」
「その本を求めてセラニスをスキングラードに向かわせたけど、行方知らずになってしまった」
「要するに、その本とセラニスを探し出せということですね?」
「そう、彼と協力して本を持ち帰るんだ」

 そんなわけで、スキングラードへとやってきたわけだ。
 スクリーヴァからの依頼は、本探し。本泥棒で名を上げた俺にもってこいの仕事だと考えたのだろうか?
 

「えーと、今回の仕事は潜入作戦だから、君はここでお休みしててね」
「あら、この町の家は結構大きいじゃないのよ」
「そう、帝都の家が嫌な理由がわかっただろう」
「ここを本拠地にしましょう」
「ん、その作戦は任せる」
 
 そんなわけで、緑娘をスキングラードの自宅であるローズソーン邸に残して、本探しを開始したのだった。
 まずは情報収集だな。

「こら物乞い、セラニスについて知っていることを述べよ」
「オレンジが食べたいので2Gおくれ」
「そのぐらい樽の中に――、ほらよっ!」
「ありがとう。セラニスは二人姉妹の旅館で飲みながら、城で何かをくすねたと自慢していたんだ。だが運悪くディオン隊長が傍に居たので、逮捕されて牢屋行きになった」
「自慢話ばかりして威張り散らしていた者の末路だな。首がその体と永遠におさらばしなかったことに感謝しろと伝えてくる」
 
 また牢屋か。スキングラードの牢屋はまだ行った事無かったかな。
 

 それにしてもこの町の作り方は上手いと思っている。
 城に通じる橋を渡っていると、町を一望できるのが良いのだよなぁ。
 領主のハシルドア伯爵は吸血鬼だけどね……(。-`ω´-)
 

 さて、牢屋である。
 
「50Gでそのドアを開けてくれる?」
「いんやダメだ。通報される前に立ち去るのだな」
「ちょっと失礼するよ」
 

 交渉を破壊してしまう魅了の魔法、これで衛兵の心は懐柔した。
 
「100Gでそのドアを開けてくれる?」
「いんやダメだ。通報される前に立ち去るのだな」
「真面目すぎるやっちゃな……(。-`ω´-)」
 
 この場合牢屋に行くには、自分も逮捕されて牢屋へ行くコインの表と裏作戦。
 それか何か城で仕事を受け持って、合法的に牢屋へ向かうかの二択。
 いや、衛兵を退治して強引に突入するという手もあるけどね。
 

「何かお困りかね?」
「ん~、牢屋に――じゃなくて、何かないかの?」
「仕事がほしいなら、伯爵の執事であるシャム・グロ=ヤラグが使用人を募集しているぞ。今ならウェストウィルド亭に居るはずだ」
「ん、そうしてみよう」
 
 使用人になって何ができるのかわからんが、できることは何でもやってみよう。
 しかしここで使用人になってしまうと、ずっとスキングラードに住んでいないとダメなのかな?
 
 

 そしてウェストウィルド亭だ。
 緑娘が居るのは気にしないで話を進めるぞ。
 とりあえず仕事内容を聞いて、意味が無さそうだったら聞かなかったことにすればいい。
 
「城で働きたいと言えば、何をすることになる?」
「囚人達に臭い飯を運ぶ者がを探しているぞ」
「よしやろう」
「城では礼儀正しくしろよ」
 
 なんか知らんけど、合法的に囚人に近づくことができるみたいだ。
 どうも都合が良すぎる様な気がするけど気にしない。幸運も実力の内だ、ということにしておこう。
 
「ちょっとラムリーザ!」
「なんぞ?」
 

 どうやら緑娘に見つかってしまったようだ。
 何か怒っているみたいだけど、何があった?
 
「あの家、知らないおばさんが住み着いてるよ?!」
「ああ、メイドの誰だったっけ……(。-`ω´-)」
「メイド? 愛人だったら承知しないから!」
「誰が愛人や、働きたいというから雇っただけだよ。取り乱してないで聞いてみたら誤解は解けるって」
「メイドには見えないよ、メイドって黒い服に白いエプロンで頭にホワイトブリムつけているんじゃないの?」
「知らんがな……」
 
 めんどくさいので、さっさと城に戻って給仕の仕事をするぞ。
 臭い飯を運ぶ仕事、囚人にはくさやとかシュールストレミングとかを食わせているのか?
 
 ………
 ……
 …
  
「臭い飯持ってきたから、牢屋の扉を開けろ」
「今日の残飯は何だ?」
「臭豆腐入りのスープだぞ」
「何て物を持ってくるのだ!」
「だってシャム・グロ=ヤラグが臭い飯を運を運べって言うから、これも刑罰の内かなと思って……」
「とっとと持って行け、臭すぎる!」
「俺もくせーよ!」
 

 なんだか変な話になったが、今度は衛兵もドアをすぐに開けてくれた。
 たぶんこの臭豆腐から早く離れたいのだろうな。
 

 さて牢屋だが、見て回ったところ囚人は一人しか居ない。
 
「助けてくれるのか?」
「一応そうなるが、お前はセラニスか?」
「んや、俺はラスジャー。セラニスなら別の部屋でアルゴニアンの囚人と同じだったぞ。だが数日前に青い顔の女に連れて行かれた」
「ダークエルフかな?」
「とにかく開けてくれ」
 

「そっちはすぐ近くに衛兵が居るから、すぐに捕まるぞ。あとこれ、お前の食事だ」
「そんな臭い物は食べ物じゃない、どこかに捨てろ」
「で、そのセラニスはどこへ行った?」
「分からんが、かなり抵抗していたようで全身血だらけになっていたな」
「血痕を辿れというのか」
 

 そんなわけで、牢屋を調べてみたところ、ラスジャーの入っていた部屋の隣から、牢屋の奥へ向かって血痕が残っていた。
 セラニスはどうやら奥へと向かったらしい。
 盗賊ギルドの仕事だが、どうやら探偵の仕事再びみたいになってきた。
 
 血痕は牢屋の奥まで続いていたが、そこには壁があるだけで他に何も無い。
 ひょっとしたら壁際で何かをされて、牢屋側に引っ張られたのかなと血痕を逆に辿ってみたが、部屋の前まで続いているだけでそれ以外には落ちていない。
 
 他に見当たる物と言えば、壁の近くにある燭台付近も血まみれになっているようだ。
 そしてその燭台は、少し触ってみたところ、何だか動くようにできている。
 なんだろう、隠し通路のボタンかな?
 

 俺は、燭台をぐいと捻ってみた!
 
 
 続く――
 
 
 
 




 
 
 前の話へ目次に戻る次の話へ

Posted by ラムリーザ