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グレイ・プリンスとの死闘 ~勝利の演出~

 
 ついにアリーナのチャンピオンへと登り詰めたのだ。
 残されていることと言えば、グレイ・プリンスに挑戦してグランド・チャンピオンを目指すことだけである。
 
 しかしそのグレイ・プリンスだが、自分が半分吸血鬼であるということを知ってから、すっかり気落ちしてしまっていた。
 気落ちで済むかと言えばそうでもなく、もっとこう何というか――
 

「ああそうか、君はチャンピオンだったな……。私の持っているグランド・チャンピオンの称号が欲しいだろ?」
「そうなるかな、挑戦させてもらおうかな」
「わかりました、その挑戦受けましょう。アリーナでこの生き地獄を終わらせて欲しい……」
 
 気落ちどころではない。
 生きる気力さえ失ってしまったようだ……
 そんなに気にしなくてもいいのにな、ハシルドア伯爵のように正統派の吸血鬼を目指せばいいのに。
 
 それでも折角ここまで登り詰めたのだ。
 アリーナの最高峰であるグランド・チャンピオンを目指すのも悪くは無い。
 実力の無い覇者が打倒されるのは当然のことだからな。
 グレイ・プリンスが真の覇者なら、俺を返り討ちにすればよいのだ。
 
 
「グレイ・プリンスは、アリーナ史上最強の戦士だ。負けるはずが無い、あんたにもね! それでも挑戦するなら、あんたにはその権利がある!」
 
 チャンピオンになってからは、オーウィンではなくイザベルがマッチメイクをするようだ。
 俺がグレイ・プリンスに挑戦すると言えば、こう返してきたのだった。
 下馬評では圧倒的に俺が不利だということか……(。-`ω´-)
 
 なお、グランド・チャンピオン戦はこれまでとルールが少し違うらしい。
 一つ、どのような失格行為も存在しない。
 一つ、防具も含めて装備は全て自由となる。
 一つ、倒した相手の持ち物を奪うことが許されている。
 
「対戦相手のマスクを狩ることは認められますか?」
「先ほど言ったとおり、どのような失格行為も存在しない」
 
 よし、グレイ・プリンスがマスクマンで出てきたら、マスク狩りを敢行してやろう。
 マスク狩り予告、試合開始10分で狩り取ってやる、マスク・ジエンドで――いやだめだ、あれを使うとマスクにコレクション価値が無くなるし、一人ではできん。
 
「ではグレイ・プリンスと戦います」
「その前にあんたは、リングネームを選ばなければならない」
「マジで……? それじゃあ、ブッチャーで――」
「ダメよそんなの!」
 

 びっくりした、いつの間にか緑娘ソニアが後ろに回りこんでいた。
 
「そんな悪趣味な名前はダメ! もっとかっこいいのにしなくちゃ」
「それじゃあ、マンオーウォーで……」
「なにそれ、タコじゃないの!」
「は?」
「それもダメ!」
 
 なんで緑娘にここまでダメ出しされるのかわからん。
 別に俺のリングネームだから、俺の好きなようにしてもいいだろうに。
 
「マンオーウォーの婚約者なんて嫌!」
「わかったよ、それじゃあザ・コブラで。これならかっこいいだろう?」
「なにそのしょっぱいマスクマンみたいな名前! あなた悲劇のマスクマンになりたいの?」
「何やそれ……、それじゃあミスターKで……」
「相手に対して八百長野郎って怒鳴って試合をぶち壊すのかしら?」
「ではスリザリンで……」
「スリザリンは嫌だ!」
「なんでやねん……(。-`ω´-)」
 
 なんか緑娘は、俺がしょっぱい試合をすることを勝手に想像しているようだ。
 心配しなくても、俺は若干塩分濃度高めのチャンピオンだけどな!
 
「何を二人でごちゃごちゃ言っているんだい? もうあんたはスペルスリンガーで決まり。グレイ・プリンスはもうアリーナに向かったよ、あんたもとっとと行くんだね」
「はい……」
 
 そんなわけで、勝手にリングネームを指定されてしまった。
 まあよい。
 装備も自由なので、いつもの服に戻させてもらうぞ。
 

 振り返ると、確かにグレイ・プリンスの姿は無かった。
 しかしいつも思うのだが、イエローチームの控え場所への通路はどこなのだろう?
 
 
 ………
 ……
 …
 
 

 そして、いよいよその時がやってきた。
 グレイ・プリンスと決着をつける時がきたのだ!
 
「グレイ・プリンスから王座を奪おうとしているのは誰か? 大胆不敵な者はいったい誰なのか?!」
 
 マジで下馬評では俺は最低なのだな……
 
 
 そしてゲートが降り、ついに最終決戦が始まった!
 
 

 …………(。-`ω´-)?
 
 グレイ・プリンス、こっちに向かってこないぞ?
 どうしたんだろう?
 

「頼む、早く殺してくれ!」
 
 試合が始まったことに気がついていないのか? と思って恐る恐る近づいていくと、この言葉である。
 アリーナでこの生き地獄を終わらせて欲しいと言っていた気がするが、まさか俺に殺されることを望んでいるのか?
 
「それならとことん戦いましょうよ」
「何をためらう? 私を殺せ!」
「一応試合をしてください(。-`ω´-)」
 
 観客がざわめく前に、なんとかグレイ・プリンスを説得して、改めて試合開始!
 

 両者、アリーナの中央へと駆け寄り――
 ってグレイ・プリンス、剣を抜けよ!
 

 試合の流れを止めるわけにはいかんので、ラム・ラリアットをぶちかましてやった。
 確かペイル・パスの奥で、幽霊になっていた古代の指揮官だったっけ、をやっつけた技を久しぶりに出す。
 魔法だけではない、体術の心得もあったりするのだ。どうだ、しょっぱくないだろう。
 

 どやあぁぁ!
 
「なにをしている、そんな攻撃では私を殺せないぞ」
「そんなに死にたいのか……?」
「汚らわしい悪魔である私が生きていてはならないのだ! 殺してくれ!」
「お静かに――っ!」
 

 やばい、このままでは「塩」より悪質な「八百長」が成立してしまう。
 グレイ・プリンスに戦意が全く無いので、試合が全然スイングしない。
 お見合いをしていたら客にばれるので、ここは派手な技で妙な雰囲気を消し飛ばそう。
 
 しかし吸血鬼諸君、聞いたか?
 お前達は生きている価値の無い、汚らわしい悪魔なのだとさ。
 

 その場から動こうとしないグレイ・プリンスをそのままに、俺はアリーナにある柱へ飛び上がった。
 所謂三角蹴りというやつだ。
 世の中には、壁でも何でもない画面の端(?)を利用して三角蹴りができる格闘家も居るらしいが、俺はそこまで極まっていない。
 

 そしてこれまた久々に見せる大技、ラムリーザ・キック!
 ある時は衛兵に放ち投獄され、ある時は蟲の王に放った奥の手だ!
 

 どやあぁぁ!
 
 
 

 …………(。-`ω´-)
 
 全く立ち向かってこない……
 グレイ・プリンス、お前も塩じゃないか!
 

 仕方が無いので、一気に片付けることにした。
 霊峰の指改、俺の持つ最高の技。これを耐えられる戦士はなかなか居ない。
 
 

「それでいい、早く殺してくれ」
「……(。-`ω´-)」
 
 耐えたか……
 しかし戦意を喪失――、じゃないな。グレイ・プリンスに最初から戦意など無い。
 そろそろ観客席の方も、この試合が試合になっていないことに気がつき始めたようだ。ザワザワとし始める。
 

 ざわつく観客席を意識しつつ、俺はグレイ・プリンスから距離を取る。
 試合が成立しないのなら、とことん派手な魔法をぶっ放して、観客の意識を別の方向へ向かせよう。
 それに、この魔法がクリティカルヒットすれば、霊峰の指とは比べ物にならない破壊力がある。
 できることなら使いたくないのだが、グレイ・プリンスは死にたがっている。試合を魅せなければならない。観客もこの試合の中にある不穏なものを感じ始めている。
 ここまでずっと温存していたが、使うしかない。
 

 そして俺は、横たわるグレイ・プリンスめがけて魔力の塊を放出した。
 
 


 


 この一発で、勝負は決まった。
 いや、最初から決まっていたようなものだ。
 俺は、グレイ・プリンスの願いをかなえてあげただけなのだ。
 
「シロディールの新たな英雄を見よ! アリーナのグランド・チャンピオンを見よ! その名はスペルスリンガー!」
 
 観客からざわめきは消え、先ほどの魔法に対する驚きの声が上がっている。
 八百長や塩試合で見せるような魔法ではない。
 簡易的に火山を作り上げて、相手を噴火の力でやつける技だ。
 名前は未定、仮称として転所自在の術とでも言っておこうか――
 

 これで、よかったんだな?
 安らかに眠れ、グレイ・プリンス。
 これで吸血鬼の呪われた血も終わりだ。
 
 
 観客が沸く中、俺は静かに腕を掲げた。

 いろいろあったが、勝ちは勝ちだ。
 

 緑娘もご満悦って感じだな。
 
 
 

 こうして、アリーナでの戦いは全て終わった。
 おれはここでも頂点を手に入れたのである。
 
 長い戦いだったな――
 
 
 
 
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