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戦いの日々 前編 ~基本的に塩~
- 公開日:2019年6月20日
グレイ・プリンスは、半分吸血鬼だった。
その真実を知ってしまったアグロナックはすっかりしょげこんでしまったようだ。
しかしそれとは別に、俺の闘士としての戦いは続く。
まだピットドッグからブローラー、そしてブラッドレターに昇進したばかりだ。名前の意味は分からんけどな。
そんなわけで、ブラッドレターとしての新たな戦いが始まったのである。
――と言ってもこれまでと特に変わることも無く、イエローチーム相手に戦うだけだ。
相手は男、女、様々な種族といろいろである。
武器も色々で、剣、斧、そして弓とかそれぞれ得意な物を使っているのだろう。
弓を使う相手には、柱をうまく使ってやれば大丈夫。
柱の影から魔法を放つ、落ち着いて対処すれば問題ない。
逆に接近戦を挑んでくる相手は、衝撃波で弾き飛ばしてから魔法を打ち込む。
相手に合わせて、高度な柔軟性を維持しつつ、臨機応変に対処していれば大丈夫なのだ。
「参った! 降参だ!」
「降参もあったのか?」
先ほどの弓を使う相手は、弓を奪ってやったらあっさりと降参してきた。
しかし、相手を倒さないとゲームは終わらないようだ。
気の毒だがくたばってもらおう……(。-`ω´-)
そんな感じにブラッドレターとしての戦いも終わり、今度はミュルミドンというランクに昇進した。
勇猛民族という意味らしいが、ランクが上がることで民族に加わるのか。変な話だな……
魔法だけで戦うのも飽きてきたので、久しぶりにあの武器を使ってみた。
どうやら防具は決められたものらしいが、武器は何を使っても文句は言われないようだ。
というわけで、マジッククリエイターのリリィさんに作ってもらった魔銃を使ってみた。
相手は一撃でノックアウト、相変わらず高性能の武器だこと。
重たいのが難点という欠点があったりするけどね。
「塩!」
「知らんがな(´・ω・`)」
後でオーウィンに怒られてしまった。
文字通り命を賭けた戦いだと言うのに、魅せなければいけないというのが難点だ。
そんなんなら、ブックやアングルを書いて、ショーバトルにしたらええのにな!
それから後も、適当に魔法を組み合わせて少しでも魅せる試合をしていたところ、今度はウォリアーに昇進した。
意味は戦士。
いや、俺は戦士ギルドのチャンピオンなのだが……
今更戦士を強調されてもなー
というわけで、今度も魔術師ギルドの力を見せてやることにした。
戦士ギルドだけでない、魔術師ギルドとしても名声を高めなければな。
そして用意したのは、最初に作ってもらう杖だ。
別名麻痺の杖。緑娘にも通用した一品だ。
正式な魔術師ギルドメンバーになったら必ず手に入れなければいけない、魔術師としての象徴。
これを闘技場で使用して、魔術師ギルドここにあり、と知らしめるのだ。
麻痺して倒れたところを蹴飛ばしまくってやる。
こういった戦いは緑娘の方が得意だろうが、俺もできんことはない。ニードルヒールの尖った針で蹴ったほうが威力はあるのだがな。
しかし……
「塩!」
「なんでやねん(´・ω・`)」
「変な術で動きを封じて、一方的に蹴っていただけじゃないか!」
「勝ちは勝ちだ……(。-`ω´-)」
「まあよい、次はしょっぱい試合はするなよ」
というわけで、新しい戦法を考えることにした。
これはどうだろうか?
試合が始まったらさっさと柱に登って、その上から破壊魔法撃ちまくり。
別名「オーガキラー」だ。あいつらは高台に登ると下で暴れているだけで何もできなくなるのだ。
重装備相手を選んでやったから、相手は登って来れないので、一方的に攻撃できるという算段だ。
どうだ?
「塩!」
「そうだろうなとは思ってたけどねw」
「まあよい、次の試合に勝てばグラディエーターに昇進だ。しょっぱい試合はするなよ」
そろそろ戦術もマンネリ化してきた。
そんなに魅せる技を多く持っているわけではないのだからな。
というわけで、次も魔術師ギルド謹製の武器を使ってやった。
先ほど使った魔銃を作ったリリィさん作の魔剣だ、緑娘自慢のな。
しかもこの魔剣には麻痺の魔力が込められているのだ。
威力はもちろん、一撃で仕留められなくても相手は麻痺して戦闘不能になるのだ。
今回は――、一撃でしたとさ。怒られるだろうなぁ……
「出始めはいけるか? と思ったけどやっぱり塩!」
「うるさいなぁ(´・ω・`)」
「まあよい、お前はグラディエーターだ。次の戦いではお前は三人を相手にして、それを全て打ち倒さなければならない」
「なんでやねん(´・ω・`)」
「しょっぱい試合ばかりするからだ!」
またハンディキャップマッチかよ!
なんかこれは制裁マッチみたいだなぁ……
相手はイエローチームの闘士ではなく、アルゴニアンの囚人だそうだ。俺に勝てば自由の身にしてもらえるらしい。
しかし、普通に考えたら三人がかり。自由にしてあげます、と言っているようなものではないのか?
それとも何か?
缶詰みたいな頭をした老囚人だけ見逃してあげて、「おかげで孫に会えました」と言わせてやればいいのか?
「ご覧下さい! イエローチームが退き、代わりに三人のアルゴニアンの囚人たちが現れました。これは面白い展開となりました!」
面白くねーよ!
これ、単体攻撃しかできない剣士だったらどうなってたのだ?
絶対にこれ、制裁マッチだろ?!
だが俺のプリズム・スプラッシュを浴びた奴らは、身体の自由を奪われてしまうのだ。
相手の数が多い時は、この広範囲に広がる魔法が役に立つというのだ。
そしてここから先は、煮るなり焼くなり好きにできるというわけだ。
復活してきたらめんどくさいので、さっさと片付けることにした。
こんなことをしていたら、どうせまた「塩」と言われるのだろうけどな……
だが、勝ちは勝ちだ!
三人の囚人を退治した俺は、その場で腕を挙げてやった。
ブーイングは……、無いな。よしよし。
そんな感じに戦いは続いている。
終わりはあるのだろうか?
永遠にランクだけ上がって、死ぬまで戦い続けることにならなければよいけどな……
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