第二十話 ~一族の家宝~
「とある裕福な一家が、先祖伝来の宝を誤った場所に置いてしまったんだ」
今回はヴィルカスが仕事を持ち込んできた。
山賊が日々、幅を利かすようになり、秩序を失ってしまったところがあるようだ。
「取り戻してこよう」
「期待しているぞ。同胞団に名誉をもたらしてくれ」
今回の目的地は、リフテン南部にあるブロークン・ヘルム・ホロウ。
そこから家宝を取り戻してくるのが任務となっている。
戦うだけでもなく、盗品の奪還も請け負っているのだ。
同胞団、何でも家ってイメージなのかもしれない。
というわけで、男はさっそくそこに向かう事にした。
ブロークン・ヘルム・ホロウ――
そこは、滝の裏に隠された隠れ家って感じの場所だった。
この隠れ家のどこかに、ドワーフの斧が隠されているはずだ。
男は両手に二本の剣を握りしめ、その隠れ家に突入していった。
そこは山賊のねぐらになっていたようだ。
突然の侵入者に、武器を持って立ち向かってくる山賊達。
その時だ!
またしてもウェアウルフと化す男。
狩りを楽しむハーシーンの狩人と化していた。
ハーシーンの虜になりつつあるのかもしれない。
――が、そこには狩りを楽しんでいる男が居たのだ。
群がる山賊どもを蹴散らし、あとは頭の山賊長が残されるだけとなった。
山賊長は何度も突撃を試みるが、ウェアウルフの驚異的な腕力で弾き飛ばされるばかりだ。
何度も何度も弾き飛ばしているうちに、山賊長は弱ってきた。
立ち上がるのも精いっぱいという感じだ。
おもむろに山賊長の首をつかむ。
そして力任せに握りつぶす、驚異的な握力だ。
万事休す……
ウェアウルフは山賊長の首を引きちぎってしまったのだ……
山賊長は無残な死体と化していた……
ますます凶暴性を増しているようだ。
………
……
…
ドワーフの斧は、隠れ家の奥にあった宝箱に格納されていた。