第十三話 ~コドラクの葬儀、そしてウースラドの再生~
ジョルバスクルに戻ると、コドラクの葬儀が始まっていた。
「古の炎の前で――」
「追憶の意を表する」
「この被害では――」
「涙を流し」
「戦死者のために――」
「叫び」
「自分達のために――」
「そして立ち去る」
アエラ、ヴィルカス、エオルンド、ファルカス達の追憶の言葉が並べられた。
アエラが手際よく進行してくれているので、葬儀は滞ることなく実施できているようだ。
炎がつけられ、コドラクの火葬を行ったのだ。
「彼の魂は旅立ったわ。サークルのメンバーよ、アンダーフォージに戻って追悼しましょう」
アエラは葬儀が終わったことを告げ、一同をアンダーフォージへと呼び集めた。
葬儀が終わると、男はエオルンドに呼び止められた。
「ウースラドの一部をまだ持っているか?」
ウースラドの破片と言えば、先ほどドリフトシェイドで見つけてきたものがあった。
そこで、男は手に持っていた破片をエオルンドに渡した。
エオルンドは、コドラクがウースラドの破片を常に身に着けていたことを知っていたようだ。
今は破片がコドラクの私室にもあるということだ。彼のものを使っていいかどうかわからないが……
「やらないといけないようだな」
「ありがたい」
エオルンドがウースラドの破片を集めて何をするのかはわからないが、
必要とするのなら取ってこようと男は考えた。
「サークルの会合よ、アンダーフォージに集まって」
「野暮用が終わったらすぐに向かうよ」
アエラに会合への出席を促されたが、破片を取ってくることはすぐに終わるので先に片付けておくことにした。
ジョルバスクルの中は、まるで通夜のように沈み込んでいる。
元の活気がもどるには、まだまだ時間がかかりそうだ。
コドラクの寝室を調べて回ると、ベッドわきの棚にウースラドの破片がしまわれていた。
それと、コドラクの日誌がでてきたのだ。
男はそれを読むか読むまいか考えたが、盗み見を良しとせず、そっと元の位置に戻し、寝室を後にした。
そしてエオルンドにその破片を渡し、アンダーフォージへの会合へと向かった。
そこにはアエラとファルカス、ヴィルカスが揃っていた。
3人はコドラクについて話し合っているようだ。
コドラクは死ぬ前に願いがあったようだが、それが叶わなかったこと。
その願いとは、魂を清めることだった。
魂を清めるには、イスグラモルの墓に行かなければならないが、ウースラドが無いと入る事はできないと。
そして、そのウースラドは今では粉々の破片になっていて入る事はできないのだが……
「剣は武器で、道具だ。道具は壊れるものだから、修理すればいい」
会話に割って入ってきたのはエオルンドだ。
「刃を修復したのか?」
「盾の兄弟のおかげで、初めて破片を全て集めることができた」
ヴィルカスの問いに、エオルンドは誇らしげに答えた。
「コドラクの炎はウースラドの復活を助けるだろう。そうすれば、もう一度彼に会える」
というわけで、一同はイスグラモルの墓に行くことになった。
振り回してみる、なかなかいい斧だ。
そして男もウースラドを持って、イスグラモルの墓に向かう事になった。
コドラクの魂を清めるために――
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