第十話 ~夜の狩り~
「シルバーハンドの活動に関する噂を聞いたの」
今回もアエラからシルバーハンドの情報を聞くことになった。
ウィンターホールドにあるフェルハメール砦に留まっているシルバーハンドの頭に関する噂だ。
この頭を倒すことで、シルバーハンドの勢力は弱まるはずだ、と。
男は早速ウィンターホールドへと向かった。
男は砦を見下ろせる場所についた時には、すでに夜になっていた。
今回の仕事は、この砦の制圧である。
同胞団の敵であるシルバーハンドの拠点は、ことごとくつぶさなければならないのである。
男は野獣の力を解放することにした。
丁度夜になったというのもあり、再びあの圧倒的な力を味わいたかったのだ。
沸き上がる狩猟衝動が生じる。
さあ、狩りの時間だ!
周囲のオオカミの群れも、ウェアウルフと化した男に同調してついてきた。
砦に突入し、目の前に居た見張りを鋭い爪で吹き飛ばす。
男は狩りを楽しむハンターと化していた。
ふと、背中に鈍い痛みが走る。
後ろに弓を持った見張りが居たのだ。
男は怒り狂い、その見張りに飛びかかって行った。
そして何度も何度も!
弓を放った見張りが、無残な肉塊と化すのにそう時間はかからなかった。
肉にかぶりつき、血をすすり、大きく吠えた。
砦の中に居たシルバーハンドの頭は、外の騒がしさが気になっていた。
オオカミの遠吠えがしきりに響くが、オオカミの襲撃にしては騒ぎが大きすぎる。
外の様子を見に行こうと身を起こした所で、突然入口のドアが破壊される音が聞こえた。
そして何者かが飛び込んできたのだ。
「ウェ、ウェアウルフ!」
一瞬の出来事であった!
頭が気がついた時には、鋭い爪で喉を切り裂かれた後であった――
シルバーハンドの頭は食われてしまった……
一匹のウェアウルフのために、この砦は一夜のうちに滅び去ったのであった。