第九話 ~奪還~

 
「ウースラドのかけらを求めて、シルバーハンドが世界中を探し回ってるわ」
 
 男はアエラからそう聞かされた。
 ヴァルトヘイム砦に、シルバーハンドはその破片を隠しているらしい。
 
 今回の仕事はそれを奪還することだ。

 さっそく男はその砦に向かった。
 ホワイトランの街から少しばかり東に向かった所に、ヴァルトヘイム砦はあった。
 
 入り口には見張りが居るが、見張り程度は男の敵ではなかった。

 だが、これで侵入者が現れたことが知れ渡ってしまった。
 
 あちらこちらから矢を射かけられてしまう。

 男は砦の影にうまく身を隠しながら、侵入していった。
 矢の軌跡を見れば、どこに敵が居るのかが分かる。
 砦の構造は、川を挟んで両側に立っていて、橋渡しされているようになっている。
 
 敵は高台に一人
 対岸の砦に一人
 
 男は、対岸の敵が撃ってくる矢に警戒しながら、まずは高台の敵を狙う事にした。
 対岸からはひっきりなしに撃ってくる。
 幸い砦の中に入ってしまうと、外から狙われることはないようだが……
 
 高台の敵は、砦の頂点に構えている。
 男は一気に間合いを詰め、敵に必殺の一撃を叩きこんだ。

 
 これで後は対岸の敵だけだ。
 男は砦を繋いでいる橋に飛び降りた。

 矢とすれ違いながら……
 そして一気に橋を渡りきり、対岸の敵と対峙する。
 
 弓兵相手には、いかに接近するか! それが課題だ。

 砦の影から相手を窺う。
 敵の位置はわかったが、威嚇射撃をしてくるのでなかなか接近できない。
 
 男は、目的の物だけ回収して引き上げることも考えたが……
 相手は同胞団をつけ狙っているシルバーハンドの一味だ。
 この先何度も構えることになるのがわかっているので、やはり片付けておくことにした。
 
 しかし待っていても何もできない。
 男は剣の腕は確かだが、弓を使ったことはなかったのだ。
 
 ウェアウルフの力を使おうか?
 ――と思ったが、この力を使用できるのは今のところ月夜の晩だけのようだった……
 日の光の下では、力を使う事が出来ないようだ。
 
 
 行くしかない!
 
 
 そう考えると、男は弓兵めがけて突撃を試みた。
 敵も出てくる瞬間を待ちかまえていたようだ。
 男めがけて矢を放ってくる!
 
 しかし……
 

 
 撃ってくると分かっていた男は、矢が放たれると同時にいちかばちかのジャンプを試みたのだ。
 脚の下で風を切るような感触が感じられ、男は矢の一撃をかわせたのが分かった。
 時間は無い。
 次の矢を準備するまでに、全力で駆けて間合いを詰める。

 そして一気に攻撃を叩きこんだ!
 敵も接近されたので短刀を取りだして応戦するが、こうなれば男の敵ではなかった。

 これでこの砦のシルバーハンドは殲滅できた。
 
 
 後は目的の物であるウースラドの破片の回収だ。
 それは、砦の中の箱にしまわれていた。

 
~ Mission Complete ~
 
 
 
 




 
 
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Posted by ラムリーザ