フロスムンドの墓にて ~値しない者~
サエリングズ・ウォッチを離れて、近場をうろうろしていたところ、唐突にブジョルドと再開することになった。
彼女はずっとここで待っていたようだ。
つまりここがフロスムンドの墓。
彼女は俺の姿を確認すると、すぐに中に入る準備はできているか尋ねてきた。
とりあえずどんな場所か確認してみると、ここはシルスクの創始者であるフロスムンドの埋葬地と教えてくれた。
そこでは、フロスムンドの斧を手にしようとした者の魂を、フロスムンド自身に評価されると言うのだ。
ラムリーザ「めんどくさそうだの」
ブジョルド「あなたは、本当にただ見ているだけでいいのよ」
ラムリーザ「ほーお」
ブジョルドはすでに価値を認められているので、以前祝福した理由を思い出して貰うだけでいいようだ。
それなら簡単だな。
しかし、見てるだけでいいなら、何で俺は必要なのだ?
他の仲間の誰かでもいいのではないか?
まあいい、早速墓の中に突入しよう。
フロスムンドの墓はシンと静まり返っていて、生き物の気配は無い。
そして広間は水の中に沈んでいる。
ラムリーザ「これでは進むことができないな」
リセッテ「どうして?」
ラムリーザ「泳いだり潜ったりして進むか?」
リセッテ「どこを?」
あれ?
いつの間に水が引いた?
まあいいや、進むか。
水の引いた広間を進んでいく。
すると、突き当たったところに、斧の刺さった岩が置かれているのだ。
ブジョルドによると、ここで祝福を受ける必要があるそうだ。
つまりあれが墓石か。
しばらく待っていると、どこからともなく声が聞こえてきた。
これがフロスムンドの霊魂か?
フロスムンドの霊魂「シルスク広間のリーダーとして、我の祝福を求めているのかか?」
ブジョルド「はい。私、ブジョルドは、過去に祝福を受けました。そしてリークリングの広間を片付け、正しい所有者へ戻しました」
フロスムンドの霊魂「確かにそのとおりだ。だが私は常に見ていた。お前は弱さゆえに、自ら脱出する羽目になった」
フロスムンドの霊魂「危機が大きくなっても、お前は仲間達を強く鍛えなかった」
ブジョルド「では、私はリーダーにふさわしくないと?」
フロスムンドの霊魂「他に務まる者もいない。荒野でまとまるには、弱いリーダーよりリーダーが居ない方がましだ」
ブジョルド「…………」
なんというか……
ここは「m9(^Д^)プギャー」って場面ですかな( ^ω^ )
まぁ確かに俺が現れなかったら、進展無しって感じだったもんな。
それに、ブジョルドに至っては、しょんぼりしていてどうにもならない感じだったもんな。
そもそもあんな弱っちいリークリングに奪われるなんて、どんだけ未熟なのだ。
フロスムンドの霊魂はその辺りもよく見ていたんだろう。
強いてリーダーを作り上げるとしたら、敵ボスを撃った俺ということになるだろう(傲慢)
ブジョルドはこっちを振り返ったが、恥ずかしそうに赤面している。
そうだろう、そうだろう。
意気込んで臨んだのに、「相応しくない」だの「必要ない」だの、まぁあながち間違いではないしな。
ブジョルド「少し恥ずかしかったわ」
ラムリーザ「そうだろうなw」
だがブジョルドはリーダーが必要だと考え、最も相応しいのは自分だと言っている。
フロスムンドの意思に反して、シルスクが新たな伝統を作ればいいとか……
ブジョルド「あなたは、支援してくれるだけでいいの。嘘すらつかなくていい。ただ、ここで聞いた事は誰にも言わないで」
ラムリーザ「まー、好きにやったらええ。俺はミラークについていくつも考えねばならないのだ。お前の心配などどうでもいい」
ブジョルド「よかった、必ずよ。では失礼して、広間を指揮しなければ!」
リセッテ「何か台詞に叔父さん入っていたような?」
こうしてブジョルドは、シルスクを纏めるために広間に戻って行った。
う~む……(。-`ω´-)
リセッテ「何をしているのかしら?」
ラムリーザ「いや、俺ならリーダーに相応しいかな……ってね」
リセッテ「……で、何か聞こえるの?」
ラムリーザ「聞こえん」
リセッテ「じゃあダメじゃないの……(´-ω-`)」
まあいいや。
リーダーなんてやりたい奴がやればいいんだよ。
ブジョルドはリーダーに値しない者扱いを受けたが、本人がやりたいと言ってるし、やる気もあるんだ。
また問題が起きたら、俺がなんとかしてやるよ。
さっきも言ったが、好きにしたらよい。
たとえそれが値しない者であろうと――
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